Intelがコンシューマーからデータセンター分野に至るまで、多彩な製品やサービスの開発を本格化させている。そのラインアップは、昨今のIntelとは違う何かを感じさせる。その正体とは。
Intelは開発者やユーザーを同社の技術に引き付けるため、新しいCPUやGPU(グラフィックス処理装置)、スマートフォンとPCの連携機能など、さまざまな分野で取り組みを加速させている。過去数年の同社とは何かが違う。その裏には何があるのか。
2022年9月、Intelが年次カンファレンス「Intel Innovation」において発表したことの中でまず目を引いたのは、「Intel Developer Cloud」だ。開発者はIntel Developer Cloudを通じて、Intelのプロセッサをはじめとした新製品を一般提供の前に利用できる。
発売日の数カ月前、早ければ1年前から、開発者はIntel Developer CloudでIntel製品を利用可能になる。対象製品には、企業向けプロセッサ「Intel Xeon Scalable Processors」の第4世代(開発コードネーム「Sapphire Rapids」)や、「Intel Data Center GPU」も含まれる。
「Intelは以前から開発者コミュニティーの育成の点で、競合のNVIDIAに後れを取ってきた」。調査会社Futurum Researchの共同設立者兼プリンシパルアナリストで、マーケティング会社Broadsuite Media GroupのCEOを務めるダン・ニューマン氏はそう語る。開発者がIntelの製品を選びやすい状況を作り上げることが、Intelにとって必要だったとニューマン氏はみる。
もう一つ注目すべき発表は、「Android」や「iOS」といったモバイルOSを搭載するスマートフォンと、クライアントOS「Windows」を搭載するPCを連携可能にするソフトウェア「Intel Unison」だ。Intel Unisonによってデバイスを連携させると、エンドユーザーはWindows搭載PCからスマートフォンのテキストメッセージを送受信するといった操作が可能になる。
Intel Unisonは、2021年末にIntelが買収したScreenovate Technologiesの技術に基づいている。同ソフトウェアはIntelのプロセッサシリーズ「Intel Core」の第12世代を搭載する「Intel Evo」(ノートPC向けの設計)に準拠したPCに搭載され、2022年中には市場に投入される見込みだ。Acer、HP、LenovoなどのPCがその対象になる。
ITコンサルティング会社Pund-ITでプレジデント兼プリンシパルアナリストを務めるチャールズ・キング氏によると、Intel Developer Cloudの発表もIntel Unisonの発表も、Intelが開発者を再び重視するようになったことの証左だ。
2017年にIntelが開発者カンファレンス「Intel Developer Forum」の廃止を決めたことは、戦略的に間違っていたとキング氏はみる。「開発者コミュニティーの重要性が増しているのに、Intelは何年も間違った方向に進み続けてきた」(キング氏)。パット・ゲルシンガー氏がIntelのCEOになり、Intelは開発者を重視する視点を改めて得たのだと同氏は評価する。
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