AI技術を「ESG」(環境、社会、ガバナンス)の取り組みに生かすことは、単に“善いこと”をするというだけではなく、企業にビジネス上のメリットをもたらすという。それはどういうことなのか。
「ESG」(環境、社会、ガバナンス)の取り組みを目的とした、人工知能(AI)技術の企業利用が広がっている。専門家によると、企業にはESGに取り組む複数のメリットがある。どのようなメリットなのか。
エネルギーなどの資源消費量の削減や産業廃棄物の制限は、コスト削減につながる。各国政府の間で、環境に関する規制を強化する動きがある中、コンプライアンスの要求を満たす手段としてAI技術を導入する企業もある。
調査会社Gartnerのバイスプレジデントアナリストであるエリック・ブレテヌー氏によると、ビジネスの持続可能性に対する消費者の要求が高まっていることが、企業のAI技術導入を後押ししている。「ブランドの評判を損なうことの代償は大きい」(ブレテヌー氏)
企業が環境に対する配慮を最優先することは、珍しくなくなった。動機が何であれ、ベンダーの間で自社製品にAI技術を組み込む動きが広がることで、さまざまな企業がAI技術を利用する機会が生まれやすくなる。自分たちが使っているアプリケーションが、実はAI技術を搭載していたことに、導入後に気づく企業は少なくない。
コンピュータビジョン(画像処理を通じてその内容を認識し、理解する技術)をはじめとするAI技術を活用した、環境保護支援ツールが充実しつつある。例えばコンサルティング企業Boston Consulting Group(BCG)は、二酸化炭素(CO2)排出量を測定・追跡し、最終的に削減するために「CO2 AI」というSaaS(Software as a Service)を開発した。利用可能なAIツールの進歩により、企業は環境負荷の低減と、持続可能性への取り組みの改善を進めやすくなると、専門家はみる。
「AI技術は既に変化をもたらしている」と、コンサルティング企業Ernst & YoungのグローバルAIコンサルティングリーダー、ダン・ディアシオ氏は強調する。「環境保護に利用できるデータが充実するとともに、AI技術が大きなゲームチェンジャーとなることを期待している」(ディアシオ氏)
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