適切なストレージ選定は、MicrosoftのDaaS「Azure Virtual Desktop」(AVD)の快適な利用につながる。ファイルストレージの主な選択肢が「Azure Files」「Azure NetApp Files」だ。両者の違いは。
MicrosoftのDaaS(Desktop as a Service)である「Azure Virtual Desktop」(AVD)を快適に利用するには、ストレージの種類や容量を適切に選ぶことが必要だ。自社に合ったストレージを選定するには、どうすればよいのか。AVDの導入と運用の方法について網羅的に解説した書籍『Mastering Azure Virtual Desktop』の著者であるライアン・マンガン氏に話を聞く。マンガン氏は、DaaSをはじめとするクライアントコンピューティングの専門家だ。
―― ユーザー企業がAVDで利用するストレージを選ぶ際、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
マンガン氏 世界には信じられないほど、さまざまな種類のアプリケーションが存在する。さまざまなアプリケーションを処理するためには、適切なデータ転送速度と十分なストレージ容量を確保することが必要だ。
ユーザープロファイル(エンドユーザーのデータや設定)を保存するストレージの設計にも注意するとよい。あるエンドユーザーのユーザープロファイルのデータ量は小さく、別の人のユーザープロファイルのデータ量は大きい場合がある。
アプリケーションの使い方次第で、必要なストレージ容量は大きく変わる。例えばMicrosoftのメールクライアント「Outlook」のエンドユーザーが、メールサーバ製品「Exchange Server」を日常的にキャッシュモード(ローカルにメールデータを残す動作モード)で利用しているとする。この場合、ストレージへのデータの読み書きを常に実行することになるため、仮想デスクトップやアプリケーションの動作に影響が出る可能性がある。
AVDではファイルストレージとして、Microsoftの「Azure Files」または「Azure NetApp Files」が選択できる。災害対策(DR)の面では、Azure Filesは全てのリージョン(同社のクラウドサービス群「Microsoft Azure」の地域データセンター群)で利用でき、冗長性を確保しやすい特徴がある。Azure NetApp Filesは大企業向けのファイルストレージで、リージョンをまたいだデータのレプリケーション(複製)ができるのが特徴だ。
エンドユーザーの数が500人から1000人であれば、Azure Filesでも問題ない。それ以上のエンドユーザー数、例えば1万人以上のエンドユーザーが使用する時は、Azure NetApp Filesが適している。Azure NetApp FilesはAzure Filesと比較してデータ管理機能が豊富で、可用性を確保しやすいためだ。
次回はAVDが抱える“ある問題点”を、マンガン氏が指摘する。
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