AIツールの台頭が、開発者の立場や職を脅かしかねないという懸念の声が上がっている。この見通しに対する、GitHub社のCEOの意見とはどのようなものか。
AI(人工知能)技術を活用した「AIツール」は、さまざまな場面において企業の業務を支援している。アプリケーション開発分野でもAIツールの活用が進んでおり、一部ではAI技術が人の開発者に取って代わるのではないかという懸念の声が上がっている。この状況を、ソースコード共有サービスを運営するGitHub社(2018年にMicrosoftが買収)のCEOであるトーマス・ドームケ氏はどう見ているのか。
―― AI技術が開発者に取って代わると考えますか?
ドームケ氏 答えは「ノー」だ。人は自動運転車に目的地を教える必要があるし、物語の脚本を書く部分も担っている。開発者は開発のストーリーを書かなければならない。AIツールにストーリーを記述させるのは難しいと言える。AIツールはテストシナリオの作成などの単純なタスクを支援する。そうしたタスクは今後人が実施しなくてよくなるだろう。
このような変化は、われわれ開発者がかつて経験したことだ。インターネットが普及する前、開発者は自分の力でソースコードを書いていた。市販のソフトウェアを購入し、販売業者からフロッピーディスクを送ってもらうことはできたが、オープンソースソフトウェア(OSS)は存在しなかった。
今ではプログラミング言語やコンパイラ(ソースコードから実行可能ファイルを生成するプログラム)、OS、アプリケーションなどさまざまな分野にオープンソースプロジェクトがある。新しいWebサイトを作ろうとするとき、いちいちボタンやプルダウンリストを自作するのではなく、「React」などのユーザーインタフェース用のフレームワーク(特定の機能を持つプログラムの開発を支援するプログラム部品やドキュメントの集合体)を活用するだろう。つまり開発開始時点で、すでに1000行のソースコードを持っているようなものだ。
AIツールにソースコードを書いてもらうのも、ライブラリを利用することと変わらない。複雑な機能を実装するために、他の人の作業成果を拝借しているのだ。積み上がったピラミッドの頂上はどんどん高くなっていく。毎日書くソースコードの分、上に積み上がる。われわれが取り扱うシステムの体系はより複雑になっているので、ピラミッドの基礎となるソースコード群と、ピラミッド自体の複雑さはどんどん増していく。
第6回は、GitHubの戦略をドームケ氏が語る。
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基幹システム運用の課題を解消すべく、ノーコード開発ツールを導入する動きが加速している。数あるツールの中からどのようにツール選定を進めたらよいのか、またどのような課題を解決できるのか、具体的なツールも含めて解説する。
老朽化したシステムの刷新に向けノーコード開発ツールを導入した「東亜建設工業」。その活用により、ベンダーに依存することなく柔軟性と持続可能性の高いシステムの構築を推進できる体制を実現している。同社の取り組みを詳しく紹介する。
社内業務の徹底的な効率化を目指す「八千代工業」。最初に導入したRPAでは、紙に依存した業務への対応は難しかったが、これらをデジタル化するためにノーコード開発ツールを使ってアプリを開発し、大きな成果を挙げている。
IT技術の重要性が高まる一方、IT人材不足が加速している。その不足を埋めるため、自社の業務システムをノーコードで開発する動きが広がっているが、ノーコード開発を導入する際には、将来的な全社DXを考慮してツールを選ぶ必要がある。
業務効率化に有効なシステム化だが、プロコードやローコードによる開発では場合によって複雑なコーディングが必要となり、かえって新たな課題を生みかねない。そこで登場したのが、スキル不要で使えるノーコード開発ソリューションだ。
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