パンデミックの際によく見聞きしたはずの「メタバース」に関する話題が、ここにきてさっぱり上がらなくなってきた。かつての熱狂は一過性のものだったのか。そもそも“メタバースブーム”そのものが幻だったのか。
巨大仮想空間「メタバース」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)時に人々の話題をさらった。人々が感染を防ぐために、リアルではなくバーチャル空間での交流の機会を求めたからだ。パンデミックが落ち着いた後、メタバースにかつての勢いが見られなくなった。メタバースに何が起きているのか。実はそもそも“何も起きていなかった”のか。
パンデミックによるテレワークへのシフトは、メタバースなどの仮想空間に加え、拡張現実(AR)技術や仮想現実(VR)技術を活用したヘッドマウントディスプレイ(HMD)に企業が関心を抱くきっかけとなった。RobloxやMeta Platformsといったベンダーは、独自のメタバースを提供中だ。
業務にメタバースを活用し続けている企業はある。それでも総じて企業は「ビジネス用途においてメタバースを支持しなくなった」と、調査会社Deep Analysisの創設者アラン・ペルツシャープ氏は語る。
「一時期、メタバースは企業にとって魅力的な存在だった」とペルツシャープ氏は認める。だが実際にメタバースを導入しようと真剣に投資する企業は「ほとんどなかった」と同氏は言う。「今のメタバースにかつてほどの勢いはない」(同氏)
調査会社Forrester ResearchのアナリストであるJ.P.ガウンダー氏は、メタバースとその関連技術について「人々の関心が数十年にわたって上下してきた」と語る。新しい技術が大いに盛り上がった後、実用性が現実レベルになるまでの間に、人々の興味が冷めてしまう――。こうした現象はしばしば起こる。2023年において、企業のメタバースへの関心は薄れるというのが同社の予測だ。
次回は、メタバースが再び盛り上がると考える専門家の意見を紹介する。
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