VDI(仮想デスクトップインフラ)が嫌われる“これだけの理由”「VDI」はまだ役立つのか【第2回】

「VDI」(仮想デスクトップインフラ)にはメリットだけではなく、幾つかのデメリットが存在する。それは何なのか。主要なデメリットを整理しよう。

2023年09月08日 07時00分 公開
[Brien PoseyTechTarget]

 「VDI」(仮想デスクトップインフラ)は、仮想デスクトップ(仮想PC画面)をサーバで運用する仕組みのことだ。VDIの導入を検討する企業は、VDIのメリットとデメリットを十分に理解し、評価する必要がある。VDIのデメリットとは何なのか。導入時の注意点を整理する。

VDIのデメリットとは?

必要な製品が多くなる

 VDIの主なデメリットは、導入の複雑さだ。単体で利用できる物理PCとは異なり、VDIの仮想デスクトップを利用するには、複数のソフトウェアやハードウェアを導入する必要がある。ハイパーバイザーやロードバランサー、セキュリティソフトウェア、サーバなど、VDIに必要な要素はさまざまだ。仮想デスクトップに問題が発生した場合、VDIの構成要素のどこに問題があるのかを把握することは簡単ではない。企業はVDIを実導入する前に、VDIに必要な製品を幾つか購入して試行するとよい。

ライセンスコストが高くなる

 ソフトウェアのライセンスコストも考慮する必要がある。VDIを構成するソフトウェアのライセンスコストは、決して安価ではないからだ。

 物理PCを使用するときは、各PCにOSのライセンスが必要になる。VDIで稼働させる各仮想デスクトップにも、当然ながらOSライセンスが必要だ。仮想デスクトップの利用にはクライアント端末が必要になるので、そのクライアント端末にもOSライセンスが必要になる。つまりOSライセンスが二重に必要になるのだ。

 クライアント端末のOSライセンスは、一部のクライアント端末では問題にならない。例えばAppleのタブレット「iPad」を利用する場合、OSである「iPadOS」のライセンスはiPadに含まれている。ただしMicrosoftのOS「Windows」を搭載したPCで仮想デスクトップを利用する場合は、クライアント端末のWindowsと、仮想デスクトップのOSという、2種類のOSのライセンスコストが掛かる。

アプリケーションが使えない

 仮想デスクトップで、どのアプリケーションを利用できるようにするかの検討も重要だ。仮想デスクトップでも問題なく動作するアプリケーションもあれば、設定変更が必要なアプリケーションもある。VDIで動作しないアプリケーションや、VDI用のライセンスを用意していないアプリケーションもある。


 IT管理者は、単一障害点(その点が障害を起こすとシステム全体が停止してしまう可能性がある部分)が発生しないように、VDIを慎重に設計する必要がある。ハイパーバイザーやサーバ、ネットワーク機器などの冗長性を確保するのも有効だ。冗長性は耐障害性を高めたり、データ転送速度を向上させたりすることに役立つ。ただしハードウェアとライセンスのコストも増加することになる。

 第3回は、古くからある技術であるVDIが、いまだに利用され続ける理由を説明する。

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