「ボスウェア」とも呼ばれる「従業員監視」ソフトウェアへの不安が広がる中、従業員監視ソフトウェアの使用に一定の規制を設けるべきではないかとの声が上がっている。どのような動きがあるのか。
従業員の成果や生産性を監視する「従業員監視」ソフトウェア。「ボスウェア」とも呼ばれる従業員監視ソフトウェアの使用に、検証のメスが入ろうとしている。米国のホワイトハウスと民主党上院指導部が、従業員監視ソフトウェアの使用を規制する法律の制定に向けて準備を進めているのだ。
従業員監視ソフトウェアの分析機能は、人工知能(AI)技術の成熟に合わせて、一段と洗練されてきた。従業員監視ソフトウェアの市場が成長を続けるにつれて、労働組合や人権保護団体は懸念を募らせている。
米上院で従業員監視の規制を強く求めているのは、主に民主党議員だ。民主党でペンシルベニア州選出の上院議員、ボブ・ケイシー氏は2023年2月、従業員監視ソフトウェアの使用を従業員に通知することを企業に義務付ける法案「Stop Spying Bosses Act」を提出。2023年7月には、企業が雇用に関する決断をする際に、意思決定自動化システムのみに依存することを禁止する法案「No Robot Bosses Act」も提出している。
民主党でニューヨーク州選出の上院院内総務、チャック・シューマー氏は、AI技術を包括的に規制する法案を提出する。法案には従業員監視ソフトウェアに対する規制を盛り込む考えだ。2023年7月に戦略国際問題研究所(CSIS:Center for Strategic and International Studies)で実施したスピーチで、シューマー氏は次の疑問を投げかけた。「AI技術を使った結果、労働者の搾取や雇用における人種的偏見の助長が起きないようにするには、どうすればいいのだろうか」
法律事務所Reed Smithで雇用問題を扱う弁護士のマーク・ゴールドスタイン氏は、従業員監視ソフトウェアの使用には「一定の制限が掛けられることになる」と指摘。規制の詳細は決まっていないものの「企業は今から覚悟しておくべきだ」と説く。従業員監視ソフトウェアの規制に対する関心は「今後ますます高まる」と、ゴールドスタイン氏は予測する。
後編は規制推進派が指摘する、従業員監視技術の具体的な問題を整理する。
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