生成AIでもローコードでもない「システム開発の本命」とは何か?システム開発と生成AI【後編】

生成AIやローコード開発ツールが使われるシステム開発には、今後何が求められるのか。ローコード開発ツールベンダーOutSystemsの創業者兼CEOが解説する。

2023年09月28日 05時15分 公開
[Paulo RosadoTechTarget]

 将来的にさまざまなアプリケーションが、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)や、ローコード(最小限のソースコード記述)開発ツールで作成されるようになる可能性がある。ただし今後のシステム開発においては、別の技術も鍵を握る。それはなぜなのか。ローコード開発ツールベンダーOutSystemsの創業者兼CEOパウロ・ロサド氏が解説する。


「生成AI」でも「ローコード」でもないシステム開発の本命とは

 生成AIは、成果物をゼロから生み出す性質を持つ。企業は生成AIを活用することでイノベーションを加速できる他、開発者はソースコードをゼロから書く必要がなくなる。

 課題となるのは、生成AIが何かを生み出した後のプロセスだ。生成AIは「0」を「1」に変えることは得意だが、1以上につなげるプロセスにおいてはさまざまな課題がある。例えばセキュリティやガバナンス、ソースコードの品質、アプリケーションのライフサイクル管理といった点で問題が生じる。つまり開発者は生成AIを活用して早いスタートダッシュを切れる一方で、新たな課題に直面する。

 アプリケーションのライフサイクルにおいてコストがかかるのは開発よりも、開発した後の維持や適応の部分だ。実際、退職した開発者が残していったソースコードの不備や、アプリケーションのサポート終了に伴い、大量の業務が発生して苦しむ企業は存在する。このような企業は、今度は生成AIが出力した大量のソースコードを把握したり、管理したりすることに悩まされる可能性がある。

 ローコード開発ツールは、アプリケーションの維持や適応における課題を解消することに役立つ。例えばローコード開発ツールを用いて、アプリケーションの変更をリアルタイムで視覚化したり、テスト環境やステージング環境での確認作業を効率化したりできる。

 生成AIの活用が、イノベーションに要する期間の短縮に役立つことは確かだが、実際にどれだけ短縮できるかは現段階で不明だ。開発部門と運用部門が連携する開発手法「DevOps」のサイクルを短縮する技術は、生成AI以外にも幾つか存在する。今後は、開発者の信頼を損なわずにイノベーションに貢献する技術が生き残る。それは生成AIとローコード開発ツール、そして人間の創造性を組み合わせる技術だ。

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