ビジネスの運営とIT管理を効率化する上で効果的なのが、「as a Service」の導入だ。「DaaS」(Desktop as a Service)の概要とメリット、使用例を紹介する。
ビジネス向けITベンダーはサービス型のビジネスモデルに焦点を当てており、市場にはさまざまなサービスが出回っている。この状況を複雑にしているのは、「as a Service」という語句が語尾に付く「DaaS」(Desktop as a Service)や「SaaS」(Software as a Service)などの類似した略語だ。企業がこうしたサービスの中から自社に適したものを選んで契約し、エンドユーザーのニーズに応えるには、IT部門や経営幹部が、これらのサービスの用語や機能を正しく理解する必要がある。
設備投資(CAPEX)から運用経費(OPEX)への転換は、現代の企業における主要動向の一つだ。DaaSやSaaSは、この変化を実現する手段になる。これらのサービスを導入することによって、IT部門はアプリケーションやデスクトップを自社で管理する必要がなくなる。こうした部分的なアウトソーシングは、IT部門がより専門的なタスクに専念する助けになる。
サービスのサブスクリプションを始める前に、企業は自社のニーズに合わせた戦略をしっかりと計画しなければならない。本連載はそうした検討の際に役立つ、DaaSとSaaSの基礎を紹介する。
DaaSは、ベンダーが仮想デスクトップをクラウドサービスとして用意し、ユーザー企業がそれを利用するサービスモデルだ。企業のエンドユーザーは仮想デスクトップを通じて、アプリケーションやデータなどのリソースにアクセスできる。
企業が自社データセンターで仮想デスクトップを提供する仕組みを「仮想デスクトップインフラ」(VDI)と呼ぶ。DaaSはVDIに代わるものだ。VDIからDaaSへの移行によって、企業はCAPEXをOPEXに変え、VDIの構築や保守、運用に必要な労力と費用を節約できるようになる。社内でVDIを構築する初期コストを掛けずに、リモートアクセスや集中管理といった仮想化の利点を得られることがDaaSのメリットだ。特にVDIの構築や運用に当たる人材が足りなかったり、必要性がなかったりする小規模な企業にとって、DaaSは仮想デスクトップを迅速に導入するための有力な選択肢となる。
仮に100人のナレッジワーカーと、特定のタスクに従事する50人の従業員が企業に在籍しているとする。この場合DaaSがあれば、サブスクリプション型オフィススイート「Microsoft 365」を利用可能なデスクトップ100台と、特定のタスクに特化した非永続的なデスクトップ50台を提供するといったことが可能だ。従業員に作業環境を提供するにはライセンスやストレージのコストを負担すればよく、運用管理費は基本的に必要ない。仮想デスクトップに含まれるアプリケーションを一元的に管理することで、業務に不必要なプログラムやアプリケーションがない作業環境を提供できる点もメリットだ。
次回は、SaaSの概要を紹介する。
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