「コンピュテーショナルストレージ」は演算機能とストレージが一体化したストレージだ。さまざまなメリットだけではなく、デメリットも抱えている。具体的なデメリットとは。
演算機能をストレージに組み合わせた「コンピュテーショナルストレージ」は、従来のストレージシステムよりも高速な演算処理が期待されている新技術だ。コンピュテーショナルストレージには、期待できるメリットがある一方で、対処すべき重大な課題もある。どのような課題が懸念されているのか。
コンピュテーショナルストレージの基盤となる技術はまだ初期段階にあり、現時点ではコンピュテーショナルストレージを提供するベンダーは限られている。例えば市場にあるSSD製品は共通規格に準拠しているため相互運用可能だが、コンピュテーショナルストレージはベンダーごとに異なる設計をしているため、相互運用性がない。
2022年後半、ストレージの業界団体SNIA(Storage Networking Industry Association)が、コンピュテーショナルストレージに関する標準規格を公開した。具体的には、ハードウェアとソフトウェアのアーキテクチャに関する標準や、コンピュテーショナルストレージへのアクセスに必要なAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)の暫定標準がある。
コンピュテーショナルストレージに潜むセキュリティリスクも、まだ完全には明らかになっていない。ストレージデバイスにプロセッサを内蔵する際のセキュリティ要件についても、十分な検討が進んでいない。
企業がコンピュテーショナルストレージを最大限に活用するには、コンピュテーショナルストレージと連携させるために、既存システムのリファクタリングが必要になる可能性がある。開発チームはコンピュテーショナルストレージに落とし穴が潜む可能性をしっかりと理解しなければならない。ソースコードの変更には、望ましくない予想外の結果が生じるリスクが常に付きまとうものだ。
将来的に、コンピュテーショナルストレージがアプリケーションと適合するかどうかには疑問の余地がある。うまく適合すれば、コンピュテーショナルストレージがアプリケーションの処理時間を短縮する可能性がある。コンピュテーショナルストレージに適合する、すなわちオンボード処理を利用するアプリケーションが登場するかどうかは、コンピュテーショナルストレージが今後どの程度普及するかに左右される。
次回は、コンピュテーショナルストレージの利用例を紹介する。
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