企業では、IT部門だけでなく、事業部門の人材が自らITを活用する民主的なアプローチが広がっている。ただし、データ統合を民主的にしようとする場合には注意点がある。
企業が利用するアプリケーションの数は増加傾向にある。各アプリケーションやそのデータの統合をする際、IT部門だけがその役割を担うと、IT部門がボトルネックになって取り組みが進みにくくなる可能性がある。
調査会社Forrester Researchによれば、近年のIT業界におけるトレンドの一つが「IT統合の民主化」だ。これはIT部門だけでなく、非IT部門の従業員も協力して、企業内のアプリケーションの連携やデータの統合およびその活用を進めるものだ。ただし民主的な手法には幾つかの注意点がある。
民主的な手法でIT統合を進めるには、ユーザーが使いやすいシステムを選ぶ必要がある。例えば、各種システムやデータを連携させる基盤である「iPaaS」(integration Platform as a Service)は選ぶ際は、ユーザーが最小限の使い方を覚えるだけで済むサービスを検討するようForrester Researchのシニアアナリストを務めるデビッド・ムーター氏は勧めている。
Forrester Researchによると、ビジネスプロセスオートメーション(BPR)機能を搭載したiPaaSが市場で増加傾向にある。一般的なビジネスプロセスや業界標準のプロセスであれば、あらかじめワークフローが組み込まれているという。オプションで自動化ツールを提供するiPaaSベンダーもある。
アプリケーションの連携やデータの統合は今後、どのようになっていくのだろうか。今後はテキストや画像、音声などのデータを生成するAI(人工知能)技術の「生成AI」によって企業のIT統合のやり方が変わるとムーター氏は予測する。「統合フローを手作業で構築するのではなく、やりたいことを簡潔な言葉でiPaaSに伝え、iPaaSに統合を構築してもらうようになるだろう」(ムーター氏)
一部のSaaSはIT部門を介さずに、事業部門のマネジャーやIT担当者が導入する。こうした状況を踏まえて、企業のIT部門は、そのような製品を全社的なIT統合戦略に組み込むことが優先事項かどうかを判断する必要がある。他のアプリケーションとの接続に関して独自のコネクターツールを備えるSaaSが登場する一方で、iPaaSによってサポートされるSaaS製品も出てくるだろう。
製品やサービスの利用が組織内にとどまり、比較的短期間で終わる可能性が高ければ、既存のソフトウェア群に組み入れるまでもない。しかし、利用期間が長期になるほど、組織内のビジネスプロセスとの連携が必要になるはずだ。
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