マルチクラウドの運用で欠かせないのが、コストを適切に管理することだ。そのために必要なコスト管理ツールや可観測性ツールの機能とは。
複数のクラウドサービスを利用する「マルチクラウド」を採用する場合、コストの管理が課題の一つになる。データやアプリケーションが複数のインフラに分散するほど、コストの管理は複雑になる。コストを適切に管理するに当たって重要になるのが、「コスト管理」と「可観測性」(オブザーバビリティ)のツールだ。どのような機能が求められるのか。
コスト管理ツールを使用する目的の一つは、コンピューティングリソースの使用状況やコストを可視化すことだ。コスト管理ツールには、複数ベンダーのサービスを統合的に管理できる単一のダッシュボードが欠かせない。仮に、運用チームが複数のダッシュボードを切り替えながら管理しなければならないとしたら、時間を浪費し、人為的ミスを引き起こしやすくなる。
コスト管理ツールには以下の機能があることが望ましい。
近年、「Finance」(財務)と「DevOps」(開発と運用の融合)を組み合わせた「FinOps」関連のスタートアップ(創業後間もない企業)が台頭している。そうした企業が提供するツールは、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて複数のクラウドサービスからコストや関連データを取得する。
こうしてコスト管理ツールの選択肢が広がる中では、新たなツールを試験的に導入する時間を確保することを忘れてはならない。
コンピューティングリソースを可視化するさまざまなツールが市場にある。クラウドサービスで利用可能な無料のツールも利用ある。ただしコストを正確に管理するのであれば、問題発生の予測や問題の解消ができるレベルまで現状を可視化する「オブザーバビリティ」(可観測性)を実現しなければならない。
そうした可観測性を実現するために、必ずしもベンダーから最新のツールを購入する必要はない。オープンソースソフトウェア(OSS)の可観測性ツール「Prometheus」と「Grafana」は、複雑なマルチクラウドインフラを監視し、インフラ全体にまたがってアプリケーションとサービスのパフォーマンスと動作を分析する。
2つのツールは組み合わせて使うことも可能だ。Prometheusで収集したデータや発見したアラートを、Grafanaのダッシュボードで可視化と分析を実施することで効果的に可観測性を実現できる。
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