クラウドコストを一元的に可視化して管理するFinOpsに関心を持つ企業が増えている。しかし、FinOpsに取り組んでも思うように成果が上がらない企業も珍しくない。
近年、企業のクラウドサービスのコストは増加傾向にある。「Finance」(財務)と「DevOps」(開発と運用の融合)を組み合わせる「FinOps」によってクラウドサービスのコスト削減に取り組む企業が増加傾向にある。
FinOpsはクラウドサービスの支払い内容を一元化して可視化し、IT部門と財務部門、事業部門が連携してクラウドサービスのコスト管理を効率化する手法だ。
しかし、FinOpsに新たに取り組んでいる企業でもコストの管理がうまくいっていないことが、データ管理ツールベンダーBoomiが調査会社Forrester Consulting(以下、Forrester)に委託した調査で明らかになった。なぜうまくいかないのか。
ForresterとBoomiが発表した調査報告書「Cloud costs are out of control:integration And modernization can help rein them in」によれば、クラウドサービスのコスト増加に悩む企業は、データやシステムの統合がうまくいっておらず、ガバナンスが機能していない傾向にある。そのため、コストを正確に計算できず、クラウドサービスのコストが予算を超えてしまうという問題に直面する。
このような問題が起きてからFinOpsに取り組んでも、問題は解決しない。「コストを制御できなくなってからコスト管理に目を向けても、問題が起きる前に先を見越す形でコストを制御する機会は失われている」と報告書では書かれている。
報告書は続ける。「現時点では、クラウドサービスのコストを可視化するのは依然難しいと報告する意思決定者は多い。アーキテクチャ面でコスト抑制のサポートが不十分なことも、担当者がFinOpsを推進することを妨げている」
今回の調査では、72%のIT部門の意思決定者が、「クラウドアーキテクチャの統合」と「モダナイゼーション」(最新化)がクラウドサービスのコスト削減につながる可能性があると考えていることも分かった。
報告書の執筆者によると、統合とモダナイゼーションを進めているIT意思決定者は以下のようなメリットを享受してきたという。
ForresterとBoomiは、クラウドアーキテクチャ統合とモダナイゼーションにイニシアチブを取ることが、「チーム間のコラボレーション」「FinOpsの実現」「イノベーション」を実現する可能性を高めると分析している。
Boomiで最高製品責任者(CPO)および最高技術責任者(CTO)を務めるエド・マコスキー氏は次のように語る。
「今回の調査結果は、企業がクラウドサービスのコストを計算するときにシステムやデータの統合を考慮できていないことを顕著に示している。システムが分断され、データがサイロ化(連携せずに孤立した状態になること)すれば、自社のクラウドサービスのコストについて全体像の一部しか分からず、こうした可視性の欠如が追跡と意思決定に影響を及ぼす」
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