「プラットフォームエンジニアリング」に求められる“新たな役割”とは?勢いづくプラットフォームエンジニアリング【前編】

DevOpsの延長線上にある「プラットフォームエンジニアリング」を支えるチームが、開発効率を高めるだけでなく、企業全体に対する重要な役割を担うようになりつつある。その役割とは。

2024年07月25日 05時00分 公開
[Steve RangerTechTarget]

関連キーワード

DevOps | 運用管理


 ソフトウェアの作成とデプロイ(展開)を容易にするために、開発(Dev)と運用(Ops)を結び付ける考え方が「DevOps」だ。この考え方を拡張し、プロダクトマネジャーとエンジニアで構成されるチームが開発者に必要なインフラを構築、運用するアプローチを「プラットフォームエンジニアリング」と呼ぶ。

 調査会社Gartnerは、大規模なソフトウェアエンジニアリング企業の80%が、2026年までにプラットフォームエンジニアリングチームを設立すると予測する。その目的は、アプリケーションの提供に必要なサービスやツールを社内で調達するためだ。

 ただし実際には、こうした業務以外にもプラットフォームエンジニアリングチームはさまざまなタスクをこなしていることが調査から判明した。「開発効率の向上」に尽力するはずのプラットフォームエンジニアリングチームは、どのようなタスクをこなすようになっているのか。

「プラットフォームエンジニアリング」の新たな役割とは?

 構成管理ツールベンダーPuppet(2022年にPerforce Softwareが買収)は2023年8~9月、プラットフォームエンジニアリングチームに所属する、またはプラットフォームエンジニアリングチームと協業する474人を対象に、アンケート調査を実施した。調査結果をまとめたレポート(以下、調査レポート)からは、プラットフォームエンジニアリングチームの役割が拡大しており、セキュリティに対する責任も増していることが読み取れる。

 調査レポートから明らかになったことは、プラットフォームエンジニアリングチームが「一般的な問題解決」と「セキュリティプロセスの構築と実施」の両方に責任を持つようになっているということだ。プラットフォームエンジニアリングチームはセキュリティとコンプライアンス対策を支えているだけではなく、セキュリティ問題の解決やトラブルシューティングにも取り組んでいる。Puppetはこの結果に驚きを示しつつ、「この動向は今後のトレンドになる」と予測する。

 プラットフォームエンジニアリングチームの責任範囲がセキュリティとコンプライアンスの領域に及ぶ他の理由としては、バージョン管理やセキュリティ基準への準拠の徹底がある。エンドユーザーが適切なバージョンのソフトウェアやITツールを使用し、重要なセキュリティ基準に漏れなく従うようにするために、プラットフォームエンジニアリングチームが一役買っているということだ。

なぜセキュリティ推進を求めるのか

 Puppetの調査レポートによると、アプリケーション開発チームはプラットフォームエンジニアリングチームにセキュリティ対策の支援を期待している。例えば以下の役割が求められる可能性がある。

  • ソフトウェアやツールのバージョン統一
  • 全社に対する一貫したセキュリティ基準の適用
  • 継続的な脆弱(ぜいじゃく)性スキャン

 プラットフォームエンジニアリングチームにセキュリティ業務を追加することによる影響を、調査対象者はどう捉えていたのか。回答者のうち59%は、セキュリティとコンプライアンスを保証できるようになり、リスク低減につながると答えた。48%は、開発者がセキュリティとコンプライアンスに関する基準を習得するために必要な時間を短縮できるようになると回答した。プラットフォームエンジニアリングには企業のセキュリティ体制を強化するメリットがあると考えられることから、Puppetは「企業は積極的にプラットフォームエンジニアリングを採用するようになる」と見込んでいる。こうした想定を基に、調査レポートには「プラットフォームエンジニアリングは今後もセキュリティとコンプライアンスに関する話題の中心に位置付けられると予想される」とまとめられている。


 次回は、調査で明らかになったプラットフォームエンジニアリングチームの実態をさらに掘り下げる。

TechTarget発 エンジニア虎の巻

米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

生成AIで「ローコード開発」を強化するための4つの方法

ビジネスに生成AIを利用するのが当たり前になりつつある中、ローコード開発への活用を模索している組織も少なくない。開発者不足の解消や開発コストの削減など、さまざまな問題を解消するために、生成AIをどう活用すればよいのか。

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

「ローコード開発」実践のヒント:AI主導のイノベーションに向けた4つの戦略

急速に変化する顧客ニーズに応えるような適切な製品を継続的に提供するためには、より多くのアプリを生み出す必要があるが、そのための開発者が不足している。そこで注目されているのが、生成AIやローコード開発プラットフォームだ。

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

ローコードによるアプリ開発と高度な自動化で成功を収めるためのポイントとは?

あらゆる組織は、従業員と消費者の双方に良質なエクスペリエンスを提供する義務を負っている。アプリ開発と高度な自動化は、この目的を達成するための有効策の1つだが、それぞれを適切に実装できなければ、むしろリスク要因ともなり得る。

製品資料 サイボウズ株式会社

「ERP×ノーコードツール」のアプローチを推進するためのポイントとは?

DXが進み、レガシーシステムからの脱却が喫緊の課題となっている今。「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増えている。そのアプローチを推進するに当たってのポイントを解説する。

事例 サイボウズ株式会社

ローコード/ノーコード開発ツールで実現する、変化に強い組織の作り方

DXの本質は、デジタル技術を駆使して変化に適応する能力を身につけることにある。その手段の1つとして注目を集めているのが、ローコード/ノーコード開発ツールだ。京王グループなどの事例とともに、その特徴やメリットを紹介する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

「プラットフォームエンジニアリング」に求められる“新たな役割”とは?:勢いづくプラットフォームエンジニアリング【前編】 - TechTargetジャパン システム開発 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。