「Java」を学び始めた人にお勧めしたいのが「数当てゲーム」の開発だ。本稿で紹介するステップを踏めば、変数、条件分岐、ループなどの基本文法を学びつつ、プログラミングの考え方も身に付けられるはずだ。
プログラミング言語・開発環境「Java」を学び始める人は、何から手を付ければよいのか。筆者が初めて書いた入門的なJavaプログラムは「数字当てゲーム」だった。これは、プログラムに設定されている数字をエンドユーザーがヒントを基に当てるゲームプログラムだ。エンドユーザーは答え(プログラムが保持している数字)を推測して、1つの数字を入力する。プログラムはその数字と答えを比較し、エンドユーザーの入力が答えの数字よりも小さいか、大きいか、あるいは等しいかを表示する。エンドユーザーが正しい数字を当てるまで、このやりとりを続けるといったものだ。
このプログラムの開発を通じて、筆者は変数、ループ、条件文の仕組みを理解した。読者にもこのやり方を紹介したい。同じような数当てゲームのプログラムを、次の手順で作成してみよう。
オンライン開発環境「OneCompiler」を使って、Javaの数字当てゲームを開発する手順を以下に示す。
OneCompilerでJShellを開くまでの手順は、前編「『Javaの学習』を始める“お薦めの方法”はこれだ」で紹介した通りだ。以下ではそれ以降のステップを解説する。なお記事中の情報は、2024年7月時点のものに基づく。
数字当てゲームのプログラムには、以下の2つの変数が必要だ。
答えの数字を格納する変数「theMagicNumber」と、エンドユーザーの推測値を格納する変数「theGuess」の値を宣言し、それぞれの初期値をハードコードする(ソースコードに直接値を書き込む)と、ソースコードは次のようになる。
var theMagicNumber = 7; var theGuess = 5; System.out.println("Guess the number!");
4行目は、エンドユーザーに数字を当てるよう促す指示を表示する命令だ。この時点で覚えておくべきことが2つある。
この2つのルールのどちらかに違反すると、Javaプログラムはコンパイルされない。
このプログラムでは、エンドユーザーが入力した数字が答えの数字より小さいか、大きいか、あるいは等しいかをチェックしたい。そのためには「if」文を使って、条件分岐を追加する。ifは与えた条件が真の場合のみ、後ろに続く波かっこ({})内の処理を実行する構文だ。
ソースコードは以下となる。
if (theGuess < theMagicNumber) System.out.println(theGuess + " is too low!"); if (theGuess > theMagicNumber) System.out.println(theGuess + " is too high!"); if (theGuess == theMagicNumber) System.out.println(theGuess + " is correct!");
ここでは、入力した数字が答えの数字よりも小さい場合は1行目の条件文、大きい場合は4行目の条件文、等しい場合は7行目の条件文でそれぞれ条件を満たし、プログラムがメッセージを表示するようにした(図1)。
theGuessの値をいろいろな数字に変えてプログラムを実行し、出力部分に異なる結果が表示されるのを確認しよう。
プログラムがエンドユーザーから入力を受け取れるようにするには、以下の3つの操作を実施する必要がある。
1つ目はOneCompiler特有の命令だ。この文によって、OneCompilerにプログラムをローカルPCで実行するように指示できる。
2つ目はScannerクラスを使うための準備をする。Scannerは、エンドユーザーの入力を読み取るためのクラス(データと操作をまとめた設計図)だ。クラスから作成した実体を「インスタンス」と呼び、ここでは「input」がインスタンスに該当する。次のソースコードはinputを宣言するものだ。
Scanner input = new Scanner(System.in);
以下のソースコードは、Scannerクラスのメソッド(操作)である「nextInt()」を呼び出すことで、inputがエンドユーザーから受け取った値を整数にしてtheGuessに代入している。
theGuess = input.nextInt();
今回のプログラムは、エンドユーザーが答えを当てるまで数字を入力するように促し続けたい。そのためには、ループ構造を作る「while」文を使って、ループの範囲(スコープ)内に条件分岐を配置する必要がある。そうすることで、whileの条件が満たされる間は、while文の後にある波かっこ内の命令が繰り返し実行されるようになる。
目指したいwhileループの動作は以下の通りだ。
この要件を踏まえると、while文を用いたループは次のようになる。
while(theGuess != theMagicNumber) { /* 条件文をここに記述する */ }
このループ内に正誤を判断する条件文を入れたものが図2だ。
プログラムを実行する前に、入力値となる数字を「STDIN」(標準入力)セクションに追加する。入力として与える最後の数字は、必ず答えの数字と一致させるようにする。そうしなければ、プログラムが無限にループしてしまうからだ。今回の例では「5」「9」「7」を与えることにした。
ここまでで作成したJavaプログラムを実行すると、変数、条件分岐、ループ文が機能することが確認できるはずだ。
筆者の場合は、データの入力を促すプロンプトとともに、条件分岐によって5、9、7の値で以下の出力が表示された(図3)。
これで数当てゲームのプログラミングは無事終了だ。Javaプログラムはこのようにして開発する。
この数当てゲームには、さまざまな改良を加えることができる。例えば以下のような改良だ。
本連載のガイドに沿って全ての手順を実行した皆さんは、自慢していいと思う。最初のJavaプログラムをうまく作れたことを喜んでもらえれば幸いだ。
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