フルリモートで働きたいエンジニアを狙う詐欺の被害が広がっている。好条件のオファーを受け取っても、まずは落ち着いて“信頼できる話なのかどうか”を確認しよう。
テレワークができる企業に転職したいと考えるエンジニアは増加傾向にある。企業の副業解禁を受けて、本職の隙間時間や休日に在宅ワークを始めるエンジニアもいる。このような背景から広がっているのが、「在宅ワーク詐欺」の被害だ。
条件が良いフルリモート(全く出社しない勤務形態)の求人を見つけたとしても、うまい話には注意しよう。「在宅ワーク詐欺」の手口と、詐欺を見抜くヒントを解説する。
在宅ワーク詐欺は、「好きな場所で働ける」とうたい、実際には存在しない偽の求人を出し、応募者の個人情報や金銭を盗むという詐欺の手法だ。
詐欺師は、偽の求人に応募した「新入社員」に、入社日までに研修用のプログラムや製品、在宅勤務用の機器を指定の業者から購入するように指示する。中には、新しい会員を勧誘して商品を売ることで利益を得る「マルチ商法」に似た手口や、人に紹介すれば配当金が得られるなどとうたって金銭をだまし取る「ねずみ講」に似た手口が使われるケースもある。
もちろん、全ての在宅ワーク求人が詐欺というわけではない。詐欺を見破るヒントはある。例えば詐欺の場合、業界の相場を大幅に上回る給与が提示されていたり、応募者に求める要件が極端に低かったりと、破格の条件になっている。
身元が不確かな相手からオファーを受けた際は、以下のポイントに注意しよう。
突然届いた電子メールやショートメッセージ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の投稿には注意が必要だ。相手が信頼できる企業だと確信できるまでは、個人情報(PII:Personally Identifiable Information)を渡してはいけない。
PIIには以下が含まれる。
雇用主を名乗る人物から送られてきたリンクや添付ファイルを開いたり、ソフトウェアをダウンロードしたりしないように注意が必要だ。個人情報の流出につながる恐れがある。初期にこうした行為を促されるのは、危険信号だと言える。
優秀な人材を急いで採用したい場合でも、企業は所定の採用プロセスに従うものだ。このプロセスは一定の時間を要するもので、数週間から数カ月かかることもある。
一般的な採用では以下のようなプロセスが必要だ。
在宅ワーク詐欺では、上述したステップを省く傾向にある。もし応募先の企業が、一般的な採用プロセスを省略したり、適正を見極めなかったりする場合は注意が必要だ。
後編は、在宅ワーク詐欺を見破るための別の観点を紹介する。
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