光を利用してデータを送受信する光無線通信には、他の通信にはないメリットがある一方で、制約やデメリットも存在する。基礎から解説する。
1990年代以降、世界各国で光を利用してデータを伝送する「光無線通信」(Optical Wireless Communication、以下、OWC)の導入が進んでいる。OWCには他の通信方式では容易に実現できないメリットがある一方で、特有の課題もある。OWCとは何かを基礎から解説する。
OWCは、光を用いてデータを伝送する技術だ。データの伝送に物理的な光ファイバーを使用しない。利用する光は、波長に応じて主に以下の種類がある。
OWCによるネットワークを構築するには以下の要素が必要となる。
トランスミッターがデータを光信号に変換して、さらに最適な信号に変換する「変調」のプロセスを経てから空間を経由して伝送される。光信号を受信する側にもさまざまな機器が必要だ。
OWCによるデータ伝送を実現するには、受信機と送信機の間に遮蔽(しゃへい)物が無い状態である「見通し」(LOS:Line of Sight)の確保が必要だ。十分なスペクトル効率(一定の周波数帯域幅で伝送可能なデータ量)を達成するために、送信機に向けて検出面をできる限り広く確保するように受信機の角度を保つ必要もある。送信機からの光信号を受信すると、受信機はそれを復調し、デコードして元のデータを抽出する。
次回はOWCのメリットを紹介する。
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