AI技術が広く使われるようになる中で、CPUとGPUは共にますます重要なプロセッサとしての役割を果たしている。CPUとGPUの役割にはどのような違いがあるのか。
「CPU」(中央処理装置)は、全てのコンピュータに欠かせないプロセッサだ。「GPU」(グラフィックス処理装置)を利用することも、昨今ますます一般的になっている。機械学習などのAI(人工知能)技術の利用においても、CPUとGPUはそれぞれ演算処理における重要な役割を果たしているが、その役割には大きな違いがある。
CPUは、全てのコンピュータに欠かせないプロセッサだ。企業のシステムにおいては、GPUを活用することもますます一般的になっている。機械学習などのAI(人工知能)技術の利用が広がる中で、CPUもGPUも演算処理における重要な役割を果たしている。
CPUはAI技術の処理に特化するよりも、複雑で多様なタスクを処理することを得意としてるが、AI技術のタスクにも参加する。CPUは複数のプロセッサによる処理を含めて全体の指揮を執る他、CPU自身がAIアプリケーションの演算処理を担うこともある。CPUはAI技術に関連した複雑な演算処理を実行できる。
CPUの問題の一つは、CPUが効率的に処理できる命令パイプライン(命令を段階に分けて処理するプロセス)の数に限界があることだ。CPUは、高負荷の並列処理は得意としていない。複雑なタスクを同時に大量に実行するよう求められると、CPUの処理能力は大幅に落ちる可能性がある。
CPUはAIアプリケーションを起動して実行するものの、CPUが直接的に処理するAI関連のタスクは一部に限定される。例えば以下のような用途がある。
GPUは処理できるタスクの範囲は限られているが、大量の処理を同時に実行することが可能だ。CPUがさまざまなタスクを効率的に処理できる少数の大きな汎用(はんよう)のコア(演算装置)を持つのに対して、GPUは大量のデータを同時に処理するために小さなコアを多数持つ。GPUは特定の演算処理用に設計される。
AIモデルをトレーニングする際は、膨大な量のデータセットを用いるのが一般的だ。その際の演算処理は、CPUでは担い切れない規模になる。そうしたAI関連のタスクを高速で機能させるために、GPUによる並列処理が使われるようになった。
GPUは以下のようなAI関連のタスクで使われている。
大規模な並列処理が得意というGPUの長所は、欠点にもなり得る。そのため、GPU向けのAIアプリケーションを設計する際は、複雑さを最小限に抑える必要がある。分岐ロジックや連続的に実行する複雑なプロセスがあると、GPUを使うコストメリットは低下する可能性がある。
次回は、AI需要の拡大とともに台頭してきたTPU(テンソル処理装置)について解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
アドビが「10種類のAIエージェント」を発表 顧客体験はどう変わる?
アドビの年次イベント「Adobe Summit 2025」が開催された。初日の基調講演では、アドビの...
「ブランドは叩かれて強くなる」 ジャガーのCMOが語った炎上の乗り越え方
SXSWで開催された「Female Quotient」のイベントにおいて、Jaguar Land Roverの米国CMOは...
生成AI検索は売り上げにプラス? マイナス? 企業に求められる戦略転換
生成AIが主流になるこれからの検索で企業にはどのような姿勢が求められるのでしょうか。