ネットワークエンジニアはネットワークの全体像を把握するために、ネットワークのトポロジー(構成)マップを作成する。トポロジーには物理または論理の2種類ある。トポロジーの基本を解説する。
ネットワークエンジニアはネットワークの設計や運用を効率化するため、ネットワークトポロジー(構成)マップを作成する。ネットワークトポロジーマップとは、ネットワーク内の各機能を図式化して配置した「物理的」もしくは「論理的」な構成図だ。観光客を案内する地図のように、エンジニアを導く地図の役割を果たす。ネットワークトポロジーマップを基本から解説する。
ネットワークトポロジーには、ネットワークに接続している機器が物理的にどのように接続しているかを示す「物理トポロジー」と、ネットワークの各構成要素をデータの流れに注目して抽象的に表す「論理トポロジー」がある。前述の通り、ネットワークトポロジーマップは地図に例えることができる。物理トポロジーと論理トポロジーをより深く理解できるようにするために、都市に例えて説明する。
都市は、道路、建物、信号、交差点といった物理的なインフラによって構成される。同様に、ネットワークもさまざまデバイスで物理的に構成される。都市における道路は、ネットワークのケーブル配線に相当する。建物は、PCやサーバといったネットワークにつながったデバイスだ。信号や交差点は、ルーターやスイッチに相当する。
都市には交通が存在する。さまざまな目的地に向かう人や乗り物の流れだ。この交通の流れに相当するものがデータフローであり、プロトコルは交通ルールに相当する。都市の各地区はVLAN(仮想LAN)やサブネット(IPネットワークを分割する技術、もしくは分割後のネットワーク断片)に相当する。
この例では、道路や建物、信号や交差点の物理的配置がネットワークの物理トポロジーに相当する。物理トポロジーマップは、ネットワークの各構成要素と、その物理的な接続を図示したものだ。一方、交通の流れは論理トポロジーに相当する。論理トポロジーマップは、ネットワーク内のデータの移動を図示したものだ。
物理トポロジーと論理トポロジーの主な違いは以下の通りだ。
| 項目 | 物理トポロジー | 論理トポロジー |
|---|---|---|
| 意味 | ネットワーク機器が物理的にどのように接続されているかを示す図 | データがネットワーク内でどのように流れるかを示す |
| 目的 | ネットワークの物理的な構築と管理 | ネットワークの性能向上やトラブルシューティング |
| 記載内容 | ケーブルの種類、機器の配置、物理的な距離など | 通信プロトコル、IPアドレス、ルーティングなど、データ伝送に関する要素 |
後編はネットワークトポロジーを作成する際のポイントを解説する。
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