「テレワーク廃止」か「退職」か トランプ新政権が起こしかねない“人材崩壊”マスク氏が示す人材の「大規模削減」計画

トランプ氏が率いる新政権は、連邦政府職員を大幅に削減する方針だ。オフィスへの出勤を義務付け、テレワークをしている職員に退職を促す可能性もある。こうした方針は、どのようなリスクがあるのか。

2024年12月24日 16時00分 公開
[Patrick ThibodeauTechTarget]

 米国のドナルド・トランプ次期大統領が率いる新政権は、連邦政府職員を大幅に削減する方針だ。トランプ氏の顧問に就任する実業家のイーロン・マスク氏は、テレワークをしている連邦政府職員に対し、オフィスへの出勤を義務付け、自発的な退職を促すことを示唆した。一方、専門家はこうした方針は“あるリスク”を抱えると懸念する。どのようなリスクなのか。

「テレワーク廃止」が招く“人材崩壊”とは?

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 「新政権は連邦政府職員の大部分を不要だと考えている」と、法律事務所Kalijarvi, Chuzi, Newman & Fitchの弁護士、ジョージ・チュジ氏は指摘する。新政権は、連邦政府職員を「政権の目標と相反し、財政を圧迫する存在」と見なしているという。「新政府の方針に対し、連邦政府職員は『解雇される前に退職するしかない』と考えるようになる」と推測する。

 新政権は必要な職員を失うことになりかねないと懸念するのは、コンサルティング会社Work ForwardのCEOブライアン・エリオット氏だ。エリオット氏は優秀な連邦政府職員の流出を危惧し、「新政権が行政サービスのモダナイゼーションを任せられる職員がいなくなる」と指摘する。

 マスク氏とバイオテクノロジー分野の実業家ビベック・ラマスワミ氏は、連邦政府の人員削減計画を示した。両氏は、政府の支出見直しや削減を実施する組織「DOGE」(Department of Government Efficiency:政府効率化省)を通じ、人員を減らすことを提案している。経済誌「Wall Street Journal」によると、両氏は「連邦政府職員に週5日の出勤を義務付ければ、自主退職を促すことができる。これは歓迎すべきことだ」と主張した。

 ピッツバーグ大学などの組織から成る研究チームは2024年11月、企業がオフィスへの出社を義務化すると、熟練労働者の離職率が上昇するという研究結果を発表した。この研究はビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「LinkedIn」のデータを使用し、300万人以上のIT・金融業界の雇用動向を追跡したものだ。

 ピッツバーグ大学の経営学准教授マーク・マー氏は、民間企業における出社義務化は、給与が増えるにもかかわらず、離職率が高まる要因になると指摘する。新政権の方針は、特に米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)の科学者や司法省の検察官など、特殊なスキルを有する連邦政府職員に影響を及ぼしかねない。

 マー氏は、こうした影響は国防にも及ぶと付け加える。現代の戦争はサイバー空間も対象になっており、AI(人工知能)技術やサイバーセキュリティに関するスキルを有する職員の必要性を指摘。「大手IT企業が、こうした人材をより高給で引き抜く可能性がある」と主張する。

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