無線LAN規格の「Wi-Fi HaLow」に準拠した製品の提供に向けて、IoT機器ベンダーと半導体ベンダーが新たに提携した。両社はどのようにWi-Fi HaLowを活用しようとしているのか。
IoT(モノのインターネット)向け無線LAN規格「Wi-Fi HaLow」(IEEE 802.11ah)に準拠した製品の開発と応用が進んでいる。IoT機器ベンダーのVantron Technology(以下、Vantron)と半導体ベンダーMorse Microが2024年11月、戦略的提携を結んだ。両者はそれぞれの専門ノウハウを「Wi-Fi HaLow」の応用に生かし、「IoT接続に革命を起こす」と述べている。
Wi-Fi HaLowはどのような通信規格で、VantronとMorse Microはその活用拡大に向けてどのような戦略を描いているのか。
Wi-Fi HaLowは、標準化団体IEEE(米電気電子技術者協会)が標準化した無線LAN規格IEEE 802.11ahの別称として、無線LANの業界団体Wi-Fi Allianceが命名した。Wi-Fi Allianceは、この規格を実装したデバイスや無線LANアクセスポイント(AP)の品質や相互接続性などを認定するプログラム「Wi-Fi CERTIFIED HaLow」を提供している。
Wi-Fi HaLowは1GHz以下の周波数帯(日本では920MHz帯)で動作することで、PCやスマートフォンが接続する「Wi-Fi 5」や「Wi-Fi 6」の無線LANよりもカバレッジ(通信可能エリア)の広範囲化を実現している。APが各デバイスと通信するタイミングを調整して、電波の競合と電力消費を抑制する「ターゲットウェイクタイム」(TWT:Target Wake Time)機能によって、デバイスのバッテリー消費量を削減することもできる。
カバレッジの広さと省電力性は、センサーやウェアラブルデバイスなどのIoT機器が接続するネットワークに適した特性だ。比較的低い周波数帯域を利用していることから、電波が回り込みやすい特性を持っており、壁や障害物が多数ある波及環境でも安定した接続を提供できる可能性がある。
Wi-Fi HaLowは、IoTにおける以下の特性を実現することを目指して設計されている。
VantronとMorse Microは提携に基づき、さまざまな業界向けにIoT製品を提供する。その一環として、APやIPカメラなどのWi-Fi HaLowに準拠した製品のラインを立ち上げる計画だ。
両社の提携で生産される製品は全て、Morse MicroのシングルチップSoC(システムオンチップ)「MM6108」を採用する。これらの製品は幅広いIoTアプリケーション向けに性能を発揮できるように設計されている。Vantronの新製品はWi-Fi HaLowの特性を生かして、スマートホームや産業用のアプリケーションなどで利用できる可能性がある。
Morse MicroのCEOであるマイケル・デニル氏は、Vantronとの提携について次のように述べている。「Vantronとこの新しい領域で協力し、産業用と消費者用の両方のアプリケーション向けに、スケーラブルで安全な新しいIoT接続標準を確立することを楽しみにしている」
VantronでCEOを務めるボー・ウェイ氏は次のように述べる。「これらの製品は、省電力で信頼性の高い長距離無線通信への高まるニーズ、特に産業での利用や遠隔から操作したいというニーズに対応している」
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