Webアプリケーションのパフォーマンス向上には、リバースプロキシまたはロードバランサーが重要な役割を果たす。両者の違いはどこにあるのか。
クライアント(リクエストを送る側のシステムやデバイス)からアプリケーションおよびバックエンドサーバ(Webアプリケーションの裏側で動作するサーバ)へのアクセスを効率化する仕組みおよび製品として、リバースプロキシとロードバランサーがある。両者の役割や機能、違いを解説する
リバースプロキシはクライアントからのリクエストを処理し、バックエンドサーバを保護し、処理能力とセキュリティを向上させる。そのために以下のような機能を搭載している。
ロードバランサーは受信したトラフィックを複数のバックエンドサーバ間で分散させるために使用する。主な役割は、トラフィックの負荷を均等に分散させ、リクエストの過負荷を防ぐ点にある。過負荷が放置されると、アプリケーションのパフォーマンスが著しく低下する可能性がある。そのために、ロードバランサーは以下の機能を持つ。
一般的なリバースプロキシは、悪意のあるリクエストをブロックする機能を持つ。IPアドレスなどバックエンドサーバを識別するための情報を隠蔽し、転送中のデータを暗号化することで機密情報の漏えいを防ぐこともできる。
ロードバランサーのセキュリティ機能は比較的限定的だが、大量の繰り返しリクエストを遮断することで、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃を軽減できる。
リバースプロキシは主にソフトウェアで実装する。それに対して、ロードバランサーは基本的に、ソフトウェアとハードウェアの両方で利用できる。
ロードバランサーは複数のバックエンドサーバにリクエストを分散させ、システムの可用性を高めたい場合に特に有効だ。リクエスト処理に細かな制御が求められる場合や、トラフィック量が比較的少ないバックエンドサーバの場合は、リバースプロキシがより適している可能性がある。
近年、リバースプロキシとロードバランサーの機能は進化している。ベンダーは両者の機能を融合させた製品を提供していることがある。選定時には、製品名にとらわれず自社の要件にあった製品かどうかを確認する必要がある。
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