プロジェクト管理機能に強みを持つERP「MA-EYES」のSaaS版は、中小規模の利用を想定した利用料金を設定。3カ月で利用開始できるなど使い勝手を高めている。
「MA-EYES」は、ビーブレイクシステムズが2005年に提供を開始した国産ERPパッケージ製品だ。同製品は、財務会計や人事・給与の業務アプリケーションを起源に持つ多くのERPパッケージ製品とは出自が異なり、プロジェクト管理の機能を中心に据えた製品である。これまでSI企業やコンサルティング企業など、主たる業務をプロジェクト単位で遂行する「プロジェクト型企業」を中心に、60社ほどの導入事例を持つ。新たにSaaS版の提供も開始し、ユーザー層を広げつつある。
SI企業でプロジェクト管理に携わったことがある方なら、プロジェクトの原価や収支の管理がいかに大変な作業か、身に染みて分かっているのではないだろうか。プロジェクトで掛かった人件費や外注費をはじめとするさまざまな費用を正確に把握し、適宜プロジェクトの収益見通しを管理する。極めて煩雑な作業だが、こうした取り組みはプロジェクト単体の収益を確保するためだけでなく、企業全体の収益確保にとっても重要だ。ビーブレイクシステムズにも、こうした課題を抱える企業からの相談が多いと、同社 営業部 山口文彦氏は語る。
「毎月の締めにならないと、プロジェクトの収支が分からない。あるいは、プロジェクトの終盤に差し掛かって、初めて大赤字だということが判明する。こうした状況を改善したいと考えている企業が非常に多い。そのためには、プロジェクトの収支状況をリアルタイムで正確に可視化できる仕組みが必須。MA-EYESは、まさにそのための手段を提供する」
MA-EYESの中心的な機能は、このようなプロジェクトの案件管理にある。プロジェクト単位で予算や売り上げ、人員のアサイン情報、人件費およびその他の経費の実績情報を全て集約し、計算処理を行った上で詳細な収支リポートとして提示する。これにより、プロジェクトマネジャーやマネジメント層は、各プロジェクトの収支状態をいつでもリアルタイムに把握できるようになる。
MA-EYESは、このプロジェクト管理機能を中心に据えた上で、その周辺に財務会計や人事管理、勤怠管理、購買管理、債権債務管理などの機能モジュールをそろえ、全体として統合ERPを構成する。これらの業務モジュールで収集した予算、人件費、経費、購買に関する情報は、そのままプロジェクト管理モジュールに自動的にフィードバックされ、個々のプロジェクトの収支が計算される。また、SFAやグループウェアの機能、さらには個々のプロジェクトや会社全体の収支状況を集計・分析し、グラフィカルな表やグラフで表示するBI(ビジネスインテリジェンス)の機能も備える。
MA-EYESの各機能モジュールは、全てを一括導入して統合ERPとして利用するのはもちろんのこと、ニーズに応じて個別に導入・利用することも可能だ。特に、その中心機能であるプロジェクト管理のモジュールは単独で導入されることも多いという。
「財務会計や人事・給与などの基幹系システムは導入しているものの、プロジェクトの原価管理はMicrosoft Excelで行っているという企業は多い。そうした企業では、MA-EYESのプロジェクト管理機能だけを導入し、既存の業務アプリケーションと連携させた上で運用する。MA-EYESには、外部システムと容易に連携できる機能が備わっているので、こうした運用が非常にやりやすい」(山口氏)
また非常に柔軟なカスタマイズが可能なアーキテクチャを採用しているのが同製品の特徴だ。それも、単にアドオンプログラムを一から開発するだけではなく、あらかじめ用意された「業務システムの部品」をピックアップし、それらを専用ツールを使って組み合わせることで、最小限の工数でユーザー企業の現行業務にマッチしたシステムを構築できるという。
また同製品は、ライセンス体系に関しても独自の方式を採用している。通常、ERPパッケージ製品のライセンスは、ユーザー数に応じて価格が変動するユーザーライセンス方式を取るが、MA-EYESはサーバライセンス方式を採用している。そのため、多数のユーザーでシステムを利用する大企業においてはライセンスコストの節約効果が大きく、現に同製品の導入企業には楽天やIIJといった大手IT企業がずらりと名を連ねる。
MA-EYESの全てのユーザー企業が大手というわけではなく、中堅規模の企業による導入例も多い。2012年5月には、中堅・中小企業でもMA-EYESの機能を手軽に利用できるようにと、同製品のSaaS形式での提供が開始された。これは、データセンターにある専用システム上にMA-EYESのシステムを構築し、クラウドサービスとしてインターネット経由でユーザーに提供するサービスだ。
このMA-EYESのSaaS版は、IT資産をユーザー企業が導入・運用する必要がなく、また料金も月額課金となるため、ユーザー数が少ない中堅・中小企業ではオンプレミス版と比べ、低コストで導入・運用が可能になるという。例えば、ユーザー数30人の場合には初期導入支援費用が93万円、月額利用料金が8万5000円。またユーザー数100人の場合は、初期導入支援費用が320万円、月額利用料金31万9000円で導入・利用が可能だ。
ここで挙げた初期導入支援費用とは、要件定義から導入作業、テスト、稼働開始に至るまでの作業工程で、ビーブレイクシステムズがユーザー企業に提供する支援サービスに掛かる費用だ。
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