SSD分野では2012年にベンダーの買収が相次いだ。2013年は大容量化が進み高性能の製品が市場に出る一方、業界の再編がさらに進むと予想される。
フラッシュストレージ市場は2012年の1年間で著しく変容した。新興企業が大規模な資金調達を続け、大手ベンダーが製品ラインの拡大に向けて戦略的な買収を行い、技術開発によって製品のパフォーマンスが向上し、コストが低下したからだ。
2013年も大きな変化の年になりそうだ。主要なベンダーがオールフラッシュアレイをラインアップし、サーバサイドフラッシュ製品を拡充する他、新興企業によるイノベーションが進み、大容量化へ向かい、買収によってフラッシュベンダーの数が大幅に減る見通しだ。
以下では、2013年に予想されるこうしたSSD(ソリッドステートドライブ)ストレージの動向を説明する。
米EMCは、2012年に買収した米XtremIOの技術に基づくオールフラッシュアレイ「XtremIO」の開発が進行中であることを表明している。米IBMは、買収した米Texas Memory Systemsのアレイを既に販売中だ。米Hewlett-Packard(HP)は、買収で得た3PARストレージの一部としてオールフラッシュ製品を推進している。米NetApp、米Hitachi Data Systems(HDS)、米Dellもオールフラッシュ市場への参入を図っている。
だが、100%フラッシュのシステムをすぐに入手したい企業には、現時点でも多くの選択肢がある。米Kaminario、米Nimbus Data、米Pure Storage、米Skyera、米Tegile Systems、米Violin Memory、米Whiptailなどが製品かβモデルを提供している。
また、現在の主要なストレージアレイのほとんどは、SSDとHDDを組み合わせたハイブリッド構成で購入できるようになっている。
米Fusion-ioは2013年1月中旬に、クラウドやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、大規模なWeb環境向けのPCIeフラッシュカード「Fusion ioScale」をリリースした。ioScaleカードは容量が最大3.2Tバイトで、Gバイト単価が3.89ドル。Fusion-ioは、まだ歴史の浅いPCIeフラッシュ市場のリーダーだが、ライバル企業も多い。米LSI、米Intel、米BitMicro、米STEC、米OCZ、米Virident Systemsなどだ。
EMCは2013年3月、複数のサーバで共有されるサーバフラッシュアプライアンス「Project Thunder」の開発中止を表明するとともに、サーバのPCIeバスに導入して利用する「XtremSF」、重複排除機能などを備えるソフトウェア「XtremSW Cache」の提供を開始した。XtremSW Cacheは、同社が2012年に提供開始した「EMC VFCache」の名称を変更したものだ。米QLogicも、同様の技術である「Mt. Rainier」を発表している。Violin Memoryは1月下旬に米GridIron Systemsを買収した。GridIronのアプライアンス「TurboCharger」は、サーバとストレージアレイの間に置かれ、ブロックベースのアプリケーション、SAN(Storage Area Network)を利用するファイル管理ソフトウェア、ストレージ仮想化システムを高速化する。
当記事は米国TechTarget(2013年1月23日公開)のコンテンツを翻訳したものですが、以下2箇所に現在の状況と異なる記載内容がありました。おわびするとともに、以下の通り訂正させていただきます。なお、本文は修正後の文に差し替え済みです。
(訂正前)
米EMCは、2012年に買収した米XtremIOの技術に基づくオールフラッシュアレイ「Project X」(開発コード名)を2013年半ばごろに投入しようとしている。
↓
(訂正後)
米EMCは、2012年に買収した米XtremIOの技術に基づくオールフラッシュアレイ「XtremIO」の開発が進行中であることを表明している。
(訂正前)
EMCは、複数のサーバで共有されるサーバフラッシュアプライアンス「Project Thunder」(開発コード名)を2013年に製品化する計画を表明している。このアプライアンスは、サーバのPCIeスロットに装着して利用する2012年発売のフラッシュキャッシュ「EMC VFCache」を多数搭載したものだ。
↓
(訂正後)
EMCは2013年3月、複数のサーバで共有されるサーバフラッシュアプライアンス「Project Thunder」の開発中止を表明するとともに、サーバのPCIeバスに導入して利用する「XtremSF」、重複排除機能などを備えるソフトウェア「XtremSW Cache」の提供を開始した。XtremSW Cacheは、同社が2012年に提供開始した「EMC VFCache」の名称を変更したものだ。
2012年の大きな動きとして、MLC(Multi-Level Cell)ドライブが一般化し、ほとんどの用途で、より信頼性の高い高価なSLC(Single-Level Cell)ドライブに取って代わったことが挙げられる。2013年は大容量化が進む見通しだ。数社の小規模なSSDベンダーが既にTバイトクラスの製品をラインアップしており、他社もこれに続くと予想される。
2011年末以降、この分野ではFusion-io、米SanDisk、Intel、OCZが新興企業を買収し、ベンダーの再編が進んでいる。2013年はこれらの企業の他、米Proximal Dataや米VeloBitといった存続している新興企業、さらにはEMCのVFCache部門、NetAppのFlash Accel部門が激しい競争を繰り広げそうだ。
2012年にSSD分野では買収が相次いだ。EMCがXtremIOを、IBMがTexas Memory Systemsを、SanDiskが米FlashSoftを、OCZが米Sanradを、NetAppが米CacheIQをそれぞれ買収した。2013年も多くの買収が行われる見通しだ。こうした中、小規模なフラッシュストレージベンダーが買収されなかった場合、先行きがどうなるのかが注目される。
フラッシュストレージを手掛ける新興企業の中で、最終的に生き残れる企業や買収される企業はごく一部で、それ以外の企業の方がはるかに多い。仮に全ての主要なストレージベンダーがオールフラッシュの新興企業を1社ずつ買収しても、数社は売れ残ることになる。EMCとIBMは既にオールフラッシュの新興企業を買収しており、HDSは独自のフラッシュ製品を開発している。1〜2社の新興企業は単独で生き残るかもしれないが、存続できないところも出てきそうだ。
生き残るのが大変なのは新興企業だけではない。エンタープライズHDDベンダーは2社に絞り込まれたが、SSDはSTEC、OCZ、米Smart Modular Technologies、SanDisk、米Micron、韓国Samsung、Intelなどが販売している。SSDコントローラーも、Intel、BitMicro、米Marvell、LSI/SandForce、仏Crocusが手掛けている。これらのベンダーの多くは大企業であり、消え去ることはないだろうが、SSD技術から撤退したり、この技術を売却することはあり得る。
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