やがて、アプリがデスクトップに取って代わる
「Windows as a Service」はモバイルユーザーを救うか?
デスクトップを丸ごと配信するデスクトップ仮想化(VDI)は、Windowsアプリをモバイル端末から利用する有力な手段だった。代替手段が充実する中、VDIを使い続ける必然性はあるのだろうか?
スマートフォンやタブレットの台頭で、業務部門もIT部門も、デスクトップ仮想化(VDI)を超えるデスクトップおよびアプリケーションデリバリー戦略を検討し始めた。
課題は、従業員が必要とするアプリ(通常はWindowsベース)に、従業員が使いたい端末(Windowsベースでないケースが増えている)からアクセスできるようにすることだ。こうしたニーズに応えるために、OS全体を抽象化するVDIが長年利用されてきた。だがWindowsアプリの代わりとなるネイティブのモバイルアプリが次々登場していることから、デスクトップへのフルアクセスを必要としないユーザーも出てくるだろう。
デスクトップ/アプリデリバリーの主要ベンダーのほとんどは、エンタープライズモバイル市場に飛び込んでいる。例えば米VMwareは、VDI製品の「VMware Horizon View」と、デスクトップイメージ管理機能を提供する「VMware Horizon Mirage」、モバイルアプリおよびデータアクセス機能を提供する「VMware Horizon Workspace」を組み合わせた新しいプラットフォーム製品「VMware Horizon Suite」を発表した。
米TechTargetは、2013年5月に開催された「Interop」において、VMwareのエンドユーザーコンピューティング担当の最高技術責任者(CTO)であるスコット・デイビス氏に、モビリティの台頭によってデスクトップおよびアプリデリバリーがどのように変わるかについて話を聞いた。
―― モバイルの世界ではVDIに役目はあるでしょうか? デスクトップへのフルアクセスは必要でしょうか?
デイビス氏 もちろんVDIは、間違いなくモバイルの世界の一部です。今後もWindowsを実行していない端末を持ち歩いて、基幹業務アプリを使い続けようとするのであれば。大体、業務システムにはいまだにメインフレームが使われているんです。どれだけ時代遅れなのでしょう。
Windowsアプリの重要性が低下していることに疑いの余地はありません。でもWindowsアプリは今後長く使われ続けるでしょう。Windowsから移植するに値しないアプリも多数出てくるかもしれません。そこでVMwareは、最もリッチなユーザーエクスペリエンスを「Windows as a Service(WaaS)」として非Windows端末に提供する技術の実現にかなりの投資をしています。
―― それは、やはりフルデスクトップになりますか。それとも特定のWindowsアプリを提供するだけでよいのでしょうか?
デイビス氏 やがて、アプリがデスクトップに取って代わるとみています。どちらにもユースケースがあると思いますし、どちらも重要です。Windowsは、私たちのために多くのことをしてくれました。Windowsは多くの要素を取り込んだ一枚岩のプラットフォームです。Windowsのデスクトップ環境には複数のコンポーネントがあり、実はそれらを切り離すことができるのです。
その1つが、アプリを実行する機能。実際には端末の機能の1つです。別の側面から見てみましょう。例えば、私個人のプリンタ設定や無線LAN設定、「マイドキュメント」などの個人用フォルダがあります。これらは私が使用する全ての端末で共有したい要素です。
そして、もう1つの大きな構成要素は、Win32 APIや.NET Framework、Microsoft Visual Basicといったアプリのランタイムやサービス、開発環境です。これらはWindowsが残した要素として最も長く使われていくでしょうし、これらがサービスとして提供されるケースも目にしています。
―― こうしたレイヤーの概念は、VMware Horizon Mirageが採用するアプローチですね。Mirageで現在可能なのは物理デスクトップの管理のみですが、管理対象は広がるのでしょうか?
デイビス氏 Mirageは間違いなく、物理デスクトップだけでなく仮想デスクトップも含めた包括的なWindowsのイメージ管理製品になります。現在でも(VDIに)使えますが、解決しなければならない拡張性の問題があります。この問題は解決する予定です。
Mirageは、WANのトラフィックを最小化するために、大量の計算とI/Oを行う設計になっています。データセンター内のVMware vSphereサーバで管理する多数のVDIイメージを扱うことになった場合、ネットワーク帯域幅を節約する目的で計算やI/Oが過剰に行われるようになっては困ります。技術の調整が必要です。
―― やはり、Windowsのデスクトップ環境全体を提供する手段の主流はVDIだとみていますか? あるいは、Desktop as a Service(DaaS)など他のやり方が、その座を奪っていくのでしょうか?
デイビス氏 現在のWindowsライセンス条項がDaaS市場の足かせになっていますが、やはりDaaSに大きな注目が集まっていることには変わりありません。今後の動向を見守りたいと思います。
米Microsoftは、クライアントOSには(サービスプロバイダー向けのライセンスプログラムを)用意していません。これが、ユーザーが望む機能の提供を妨げる人為的な障害になっています。
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