スマートフォンやタブレットの企業導入を検討する際、直面するであろう課題を分析するのは重要だ。だが、分析にいたずらに時間をかけ過ぎるのはいかがなものか?
エンタープライズ向けのモバイル管理テクノロジーは急激に進化している。だが多くの企業は、いまだにモバイル導入プロジェクトを軌道に乗せられずにいる。
エンタープライズモバイル管理製品と、ユーザー企業の受け入れ態勢のギャップは、米Citrix Systemsの年次イベント「Citrix Synergy 2013」において浮き彫りになった。
Citrixは、ビジネスユーザーのモバイル端末の管理や保護、アプリケーション(アプリ)配布を1つのインタフェースから実行できる「XenMobile」の新製品を発表した。だがモバイルデバイス管理(MDM)など、基本的なテクノロジーさえ導入できていないと明かす参加者や、エンタープライズモバイル管理(EMM)に頭を切り替えるのは勇気が必要だと話す参加者もいた。
米コンサルティング企業J.Gold Associatesの主席アナリスト、ジャック・ゴールド氏は、「ユーザー企業の多くは開拓者になりたがらない」と指摘する。
EMMの柱であるMDMは、端末のセキュリティを実現する手段として、企業ITの従来のアプローチに最も近い。パスワード認証を求めたり、ネットワークアクセスを制御したり、盗難や紛失が発生した場合に端末のデータを消去したりできる。ただし、エンドユーザーが私物端末を仕事に持ち込む「BYOD(Bring Your Own Device)」の世界では、MDMのような高圧的で融通の利かない方法は必ずしも現実的ではない。
モバイルアプリ管理(MAM)はどうか。MAMは、従業員の個人的なアプリやデータには手を付けずに、IT担当者が会社の資産をコントロールできる。だが「企業には従来のアプリケーション導入計画の見直しが迫られる」と、財務管理ソフトウェアプロバイダーの米Intuitでシニアシステムエンジニアを務めるマイク・ホワイトヘッド氏は言う。
「モバイル化は必要だが、大きな変化をもたらす」(ホワイトヘッド氏)
この変化は、企業が好んで受け入れる代物ではない。CEOやCIO(最高情報責任者)など「C」の付く管理職からIT担当者に至るまで、関係者全員がモバイル導入に伴う問題を懸念している。
Citrixのビジネステクノロジー担当副社長であるマイケル・マキャナン氏は、こうした声を踏まえて次のように話す。「ユーザー企業は、こうした疑問を検討することに時間をかけすぎて“分析まひ症候群”に陥り、モバイル導入の手を止めてしまう場合がある」
ゴールド氏によると、組織の規模や業界、従業員のタイプといった全ての要素がモバイル導入計画に影響するという。「ユーザーの権限がそれほど強くない会社なら、IT担当者の一存でモバイルの導入が決まる」(同氏)
金鉱山を有する米Newmont MiningのグローバルシニアCitrixエンジニアのデイビッド・コリアー氏は、「IT担当者は、往々にして管理する立場でいたいし、コントロールとエンドユーザーへのサービス提供を同一視していることもあり、モバイルの受け入れに消極的だ」と話す。
Synergyのユーザーパネルディスカッションでコリアー氏は、「どうしたら、これまでのようなコントロールをせずに、レベルの高いエクスペリエンスを提供し続けることができるのだろうか? 極めて難しい仕事がIT担当者を待ち構えている」と発言する。
「特にBYODを検討している企業では、エンドユーザーのニーズも関係してくる。私物のモバイル端末を管理しようと思えば、プライバシーについての懸念が生じる」と話すのは、米金融関連企業でExchange管理者を務めるグレッグ・タイバー氏だ。
「ユーザーにビッグブラザー(独裁者)だと見なされることなく、モバイル化をどう進めていくのか?」とタイバー氏は疑問を投げ掛ける。
MAMは、この問題と無関係ではない。例えば、XenMobileは個人の資産は管理しないとしても、端末の位置情報を利用する必要がある。
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