クラウドの導入にミスは付き物である。だが、適切な計画を立てれば、IT担当者が大きな災難を回避することは可能だ。これには本稿で取り上げる3つのミスも含まれる。
ご自身のことをクラウドコンピューティングの専門家だと考えているかもしれない。だが、数年前の状況を考えてみてほしい。クラウドについてほとんど知らなかった事実に驚くのではないだろうか。もちろん、ミスを恐れずに取り組まなければ、何も学ぶことはできない。本稿では、多くの企業が2015年に犯すであろうクラウドにまつわる3つのよくあるミスを紹介したい。
セキュリティ、ガバナンス、パフォーマンスは、クラウドベースのプラットフォームとは切っても切り離せない関係にある。だが、多くの人が、これらについて検討するのはクラウドの導入後だ。
セキュリティは全てのクラウドプロジェクトの基盤となるものである。後から追加するものではない。事前に対応しなければ、クラウドのアーキテクトと開発者はプロジェクトのリセットボタンを押さざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。そのような事象が発生すると、全ての移行作業と開発作業を最初からやり直すことになる。
プロジェクトの早い段階でガバナンスに対応されたい。これにはポリシーベースのオーケストレーション、サービス/APIの管理などが含まれる。セキュリティと同様に、後から変更するのは困難だ。
クラウドベースのアプリケーションでは、パフォーマンスも考慮されている必要がある。クラウドネイティブのインタフェースは、パフォーマンスを大幅に向上し、コスト効率も押し上げる。だが、この点も見落とされることが多いので留意されたい。事前にコストを掛けなければ、後で代償を支払うことになる。
誰でも米Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services」(AWS)に移行すれば良いという考え方はよろしくない。
適切なクラウドプラットフォームは、アプリケーションとビジネスの要件によって異なる。要件によっては、複数の種類のクラウドとブランドを併用するのが最適な選択肢となる場合もある。
パブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらを導入するかについて検討するときの鉄則は、ビジネスの要件をテクノロジーに照らし合わせることだ。決して、テクノロジーをビジネスの要件に照らし合わせてはならない。プラットフォームの特性とコストについても理解する必要がある。それから、アプリケーションを適宜クラウドに適合されたい。
プライベート/パブリック/ハイブリッド/マルチクラウドなど、複数のクラウドモデルを採用する場合もあるだろう。また、必要な環境の作成には4~5つのブランドが必要になることもある。そのため、先入観を持たないことが肝要だ。
クラウドのアーキテクト、開発者、オペレーターは不足している。多くの企業は履歴書に「クラウド」という記載のある人材を雇用して、最善の結果を期待しているのが実情だ。
だが、経験の浅いIT担当者は、大きなミスを犯す恐れがある。そのようなミスが原因で、一流の人材の雇用を見送ったことで節約したコストよりも高額なコストを支払うことになりかねない。
方法論は幾つかある。新しいスタッフを雇用するか、既存のスタッフに対してトレーニングを実施する。あるいは、その両方を行うという選択肢だ。自社のスタッフについて考えるときには客観的な視点を忘れないようにされたい。社内の人材が、特定のタスクに対応できるだけの能力を持っていない場合は、適切なスキルを持った人材を雇用するために費用を掛けるという判断を下すのが賢明だ。クラウドは、コンピューティングリソースの活用方法全般に変化をもたらす。クラウドの計画を成功させるためには、チームに最高の人材をそろえることを推奨する。
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