そうした行動の1つが、2014年7月に結んだ米IBMとの提携だ。提携に基づきIBMはiOS専用のビジネス向けアプリ100本を開発する。Appleによると、「IBM MobileFirst for iOS」シリーズでは現在55本のアプリが存在するという。
クック氏が2014年7月の決算発表で明らかにしたところでは、AppleがIBMとの提携に踏み切った理由の1つが、iPad販売に対する利益の落ち込みだった。法人向け市場の売り上げはIBMとの提携で大幅に上向くとクック氏は期待する。
「真にそれを見極めるためには、開発者から目を離さないことだ。他のプラットフォームには存在しない独自のアプリがあれば、それが成長の指標になる」とAppleリセラーの米TSP創業者で最高技術責任者(CTO)のマイケル・オー氏は話す。
iOS端末を企業でさらに広く活用してもらうため、Appleはエンタープライズ分野でのもう1つの大型提携として、2015年8月に米Cisco Systemsと手を組んだ。このIT大手2社の提携の中核となる前提として、Ciscoは企業向けネットワークに「ファストレーン」(高速車線)を設け、IT部門がiPhoneやiPadとの間で配信するコンテンツを優先できるようにする。
ムーアヘッド氏は「IBMおよびCiscoとの提携は未来へ向けた大きな布石で短期的な目的のためではない。AppleはIBMおよびCiscoと組んで、基幹業務アプリや応答性、通信分野の再定義を目指す。突破口となる技術やソリューションが登場するには何年もかかるかもしれないが、私は楽観している」と述べている。
IBMおよびCiscoとの大型提携に加えて、今回の決算発表でクック氏は、Appleが米国内で75のモバイルパートナーと連携し、米国外でもこの分野を拡大しつあることを明らかにした。「BYOD(私物端末の業務利用)や、ユーザーから企業に対してMac対応を求める要求が強まっていることも好材料だ。これはIT管理者やCIOが、Appleは法人分野に本腰を入れていると説明する理由になる」とクック氏は説明する。
オー氏によると、Appleのモバイルエンタープライズに対する「サンドイッチアプローチ」は、ゆっくりと、だが確実に、法人分野で成長を持続させるための足掛かりになる。
Appleは、エンタープライズ分野の上位2社であるIBMおよびCiscoとの提携を通じて企業にトップレベルからアプローチできるようになった。一方、iOS端末やMacをオフィスに持ち込んで使う従業員が増えている。企業はAppleの導入について、いまこそ真剣に検討するだけの時期にあるといえるだろう。
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