管理団体の変化に伴う期待と不安
Googleの手を離れたKubernetes、今後の展開は?
Googleは、Kubernetesの大規模テスト環境をCNCFに移管するため、「Google Cloud Platform」(GCP)クレジットとして900万ドルを寄付し、3年間の引き継ぎプロセスに入る。
2018年8月末、Googleはクラウドベースの大規模テスト環境をオープンソースソフトウェア管理団体Cloud Native Computing Foundation(CNCF)に移管する準備を開始した。Googleはこれにより、Kubernetesのガバナンスを完全な独立状態にさせることに一歩近づいた。
CNCFは、アップストリーム(サードパーティー製でなくコアの)Kubernetesの開発に使用するテスト環境の管理を、Googleから徐々に引き継ぐ予定だ。Googleのスタッフのみが管理していたこのテスト環境は、5000台の仮想マシン(VM)に構築された15万個ものコンテナにより、スケーラビリティのテスト用クラスタを実現する。Kubernetesプロジェクトのコントリビューターは、このインフラでテストを実行する際、これまではGoogle社員を通す必要があった。
Kubernetesがオープンになる時
クラウドサービスベンダーGoogle Cloudでプリンシパルソフトウェアエンジニアを務めるティム・ホッキン氏は、Kubernetesプロジェクトの共同責任者でもある。彼は次のように話す。「テスト実行はGoogle以外にも可能にすべきだ。KubernetesのクラウドリソースをKubernetesコミュニティーに対してオープンにする時が来た」
Kubernetesコードのダウンロードをホストするサーバや、Kubernetesの製品サイト「kubernetes.io」とそのDNSインフラも移管対象となる。インフラを誰が、どこで運用するのかは明らかではないが、現状の運用環境であるGoogle Cloud Platform(GCP)を離れる可能性は低いだろうとホッキン氏は話す。
Googleは、GCPのクレジット900万ドルをKubernetesコミュニティーに寄付することにより、今後3年間でKubernetesコミュニティーへの円滑な移管を確実に進めることを目指している。Kubernetesのガバナンスを管理するCNCFの組織Kubernetes Steering Committeeとも連携し、管理ワーキンググループを結成する予定だ。
「このワーキンググループには誰でも参加できるわけではないが、人々がKubernetesのガバナンスに対してさらに平等に貢献できるようになるだろう」(ホッキン氏)
Kubernetesコミュニティーへの疑問
CNCFのエグゼクティブディレクターを務めるダン・コーン氏は次のように話す。「テストや開発、コードをホストするインフラが1つの企業体で管理されなくなれば、企業はKubernetesのガバナンスの独立性についてさらに確信できるようになるだろう」
この意見について、ユーザーはほとんどの部分に同意している。
「GoogleとCNCFの良好な関係が続くことは好ましい。インフラの所有権がCNCFへ広がるのは喜ばしいことだ」と話すのは、グローバルな教育ソフトウェア企業Rosetta Stoneの運用開発チームを率いるケビン・バーネット氏だ。
だが懸念を持つKubernetesユーザーもいる。「Googleは資金力がある。CNCFが3年間の移行期間を終えた後も、Googleと同じレベルの投資をKubernetesインフラに維持できるかどうか確証はない」というのが彼らの考えだ。
電子メールサービスプロバイダーMailChannelsのインフラオペレーションエンジニアであるリック・モス氏は次のように語る。「最初は非常に豊富なリソースを使用できるが、GCPの補助金が尽きた後は使用中のリソースを維持するか削減するかを選択しなければならなくなるだろう。1パケットごとに料金が発生するため、レベルを維持するには多額の投資が必要になる」
Googleはコンテナオーケストレーションソフトウェアを生み出しただけではない。Kubernetesの派生元である同社のコンテナ管理ツール「Borg」を使用し、独自のWebスケール環境でコンテナを管理していた。これはGoogleがKubernetesの管理に長けている部分があることを意味する。Kubernetesコミュニティーが同レベルの専門知識を維持できるのかを疑問視するKubernetesユーザー企業もある。
開発者向けに顔認識テクノロジーと顔の分析テクノロジーを提供するKairos ARの最高技術責任者(CTO)コール・カリストラ氏は語る。「このような大規模プロジェクトの保守作業にどのくらいの手間がかかるかは忘れられがちだ」
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