2019年06月04日 08時00分 公開
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ITが支えた“史上初”のブラックホール観測【後編】ヘリウム封入HDDを採用、生データは保護しない――ブラックホール初観測の裏側

膨大なデータが発生するブラックホール観測を支えたのは1000台のHDDだった。データの保存や処理、保護のコスト効率を高めるために観測チームが取った手段は、合理的な判断に基づく。

[Johnny Yu,TechTarget]
画像 ブラックホール撮影では膨大なデータをどう扱うかが問題だった(出典:米国立科学財団)《クリックで拡大》

 前編「ブラックホール初撮影データの保存先に『クラウド』が選ばれなかった理由」では、巨大ブラックホールの観測を目指した「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)のプロジェクトチームが、電波望遠鏡(光ではなく電波を観測する望遠鏡)で得た電波信号データの記録と分析のために、クラウドではなく従来型の手法を採用した理由を説明した。後編では、EHTが採用したHDDとは何か、データバックアップをどのようにして実現したのかについて紹介する。

 ブラックホールの画像データの扱いに関して、EHTのプロジェクトチームが突き当たった問題の一つは、頻繁に起きるHDDの障害だった。EHTの電波望遠鏡が記録した電波信号データの送信先である、マサチューセッツ工科大学(MIT)ヘイスタック観測所のビンセント・フィッシュ氏によると、EHTの各電波望遠鏡は標高7000〜1万6000フィートに設置されている。

 「何年もの間、われわれはHDDが障害を起こす問題を抱えてきた。大気の密度が低い高地では、密封されていない古いHDDは高い割合で故障する」とフィッシュ氏は話す。

過酷な環境に耐えた「ヘリウム封入HDD」

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