ストレージの運用に行き詰まっていたノースウエスタン大学は、Kompriseのストレージ管理製品を導入することで数々の課題を解決。結果としてストレージコストの半減に成功した。
米シカゴを拠点とするノースウエスタン大学は、Kompriseのストレージ管理製品を導入した。その結果、大量の研究データを分類して低コストのメディアに移行できるようになった。この導入プロセスで、スケールアウトNAS「Dell EMC Isilon」から66%安く購入して運用できるメディアにデータを移し、中央ストレージプールにかかる年間コストを110万ドルから68万ドルに削減した。
ノースウエスタン大学は研究を非常に重視する大学だ。教職員が研究を始めると、そのデータがまず中央ストレージプールに送られる。保持する研究データのファイル数は数十億に上り、そのサイズは数P(ペタ)Bに及ぶ。それらは医用画像などの非構造化データや、医薬、自然科学、音楽などのさまざまな分野のデータで構成される。
IT部門のマネジャーを務めるケネス=デイビッド・ターナー氏によると、同氏がノースウエスタン大学に勤務した当初は、ストレージの容量と分類に大きな問題があったという。「どのようなデータがあり、誰が所有し、いつ最後に利用したのかなどが分からなかった。キャパシティー需要への対応やHIPAAなどに準拠することも必要だった」
ノースウエスタン大学の中央ストレージプールは増大し続けた。「膨大な量のデータがあり、それを分類することは不可能だった。全てのデータがIsilonのSAS HDDに保持されていたためだ」とターナー氏は話す。
ターナー氏が率いるチームは、ディスク占有率可視化ツール「TreeSize」などを利用したり独自にスクリプトを書いたりして、中央ストレージプールに問い合わせるさまざまな方法を検討した。だが、発見したデータを移行する方法は見つからなかった。
最終的に、同大学はストレージ分析ツール「Komprise」を導入した。Kompriseは、コンテンツに索引を付け、そのコンテンツをユーザーのポリシーに従って移行することができる。同ツールはオープンソースの検索エンジン「Elasticsearch」をベースとしている。
ノースウエスタン大学は「Komprise Observer」とプロキシをデータセンターに導入し、サプライヤーサイトにオフサイトのディレクターを配置した。
保持期間、特定ディレクトリの除外などのポリシーはワークグループ単位で設定する。データは設定したポリシーに基づいて安価なメディアに移動される。
こうしてノースウエスタン大学のデータはIsilonからソフトウェア定義オブジェクトストレージ「Dell EMC ECS」(Elastic Cloud Storage)のSAS HDD(12TB)やクラウドストレージ「Amazon S3 Glacier Deep Archive」に移動された。
全体として、ストレージコストはIsilonでデータを維持していたときの3分の2程度になったとターナー氏は言う。
KompriseのDeep Analytics機能によって、数PBに達する非構造化データをクエリし、異なる物理ストレージから個別の仮想データセットを作成できる。
ポリシーを設定して、データの最終アクセス日時、アクセスした担当者、データの種類などに応じてデータを分類することも可能だ。既存のストレージから移行するデータ量を計画することもできる。Kompriseによって、他の物理ストレージへの移行、プロトコル間での移行、クラウドへの移行も可能で、ローカルアクセスにリンクを残すこともできる。
Kompriseの最高執行責任者のクリシュナ・スブラマニアン氏によると、Kompriseは「15分もあれば数PBのデータ」のクエリ結果を表示するという。
「Kompriseは大規模向けに設計されている。非常に効率の高い分散コンピューティング技術を用いてファイルのメタデータを調べることでオーバーヘッドを大幅に減らし、その結果を従来型ではないデータベースに組み込む」(スブラマニアン氏)
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