「エッジコンピューティング」の成功企業になるためにやるべきこととは?黎明期のエッジコンピューティング【後編】

エッジコンピューティングは現段階では用途が限定的だが、数年でさまざまな業界に取り組みが広がるとみられる。自社がエッジコンピューティングに取り組み、メリットを引き出すにはどうすればよいのか。

2020年02月26日 05時00分 公開
[Mary K. PrattTechTarget]

 データの発生源であるデバイスの近く(エッジ)でデータを処理する「エッジコンピューティング」の本格的な普及はまだ先になる見通しだが、重要な動きは既に起きている。将来的なエッジコンピューティングの採用を見据えて、企業が準備しておくべきことは何だろうか。

初期に期待される用途

 「IoT(モノのインターネット)は次第にエッジコンピューティングへ移行する」と、調査会社PA Consulting Groupのプロテウス・ダックスベリー氏は指摘する。ただし現段階でその動きはそれほど目立ってはおらず、IoTはまだエッジコンピューティングの特殊な用途だ。この状況は「今後2~3年は変わらないだろう」とダックスベリー氏は語る。

 とはいえ既にIoTが幅広く採用されている業界では、2020年にエッジコンピューティングの採用が大きく進展する可能性がある。例えばエネルギーや公共インフラ、製造などの業界だ。調査会社のForrester Researchは、IoTの採用が最も進んでいる製造業で2020年にエッジコンピューティングへの投資が目立つだろうと予測している。

2020年には他の業界でもエッジコンピューティングの取り組みが拡大

 調査会社のMarketsandMarketsは2019年8月に発表したレポートで、エッジコンピューティングの世界市場は2019年の28億ドルから2024年には90億ドルまで伸びると予測している。この背景には下記のような動きがある。

  • IoTのさまざまな業界への拡大
  • リアルタイム性のあるコンピューティングが求められるアプリケーションへの需要増
  • データ増加に伴うネットワークのトラフィック増

 専門家は地方自治体によるスマートシティー開発、スマートカーの各種自動化機能の実現、民間企業によるさまざまなパイロットプロジェクトの実施などでエッジコンピューティングが採用されると予測する。エッジコンピューティングを必要としない業界は「ゼロだと言っても過言ではない」とダックスベリー氏は言い切る。「今後2年ほどはエッジコンピューティングの“お試し期間”になる」(同氏)。

エッジコンピューティングの効果を引き出すには

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

ネットワーク遅延の原因を追究、帯域利用の現状分析と将来予測を手軽に行う方法

リモートワークやクラウドサービスが拡大する中、ネットワーク遅延の課題を抱える企業も少なくない。通信遅延は生産性にも影響するだけに契約帯域の見直しも考えられるが、適切な帯域を把握するためにも、帯域利用状況を分析したい。

事例 株式会社マクニカ

通信コストを約4分の1削減&Web会議も快適に、事例で学ぶネットワーク改善術

在宅勤務でSIM通信を利用していたが、クラウドの通信量急増により、帯域が圧迫されWeb会議での音切れが発生したり、コストがかさんだりと、ネットワーク環境の課題を抱えていたシナネンホールディングス。これらの問題を解消した方法とは?

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VPNが「もはや時代遅れ」であるこれだけの理由

VPN(仮想プライベートネットワーク)は、セキュリティの観点から見ると、もはや「安全なツール」とは言い切れない。VPNが抱えるリスクと、その代替として注目されるリモートアクセス技術について解説する。

製品資料 アルテリア・ネットワークス株式会社

VPNの3つの課題を一掃する、次世代インターネットVPNサービスの実力

インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

ファイアウォールとVPN中心のセキュリティアプローチは危険? 4つの理由を解説

代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。