エッジコンピューティングは現段階では用途が限定的だが、数年でさまざまな業界に取り組みが広がるとみられる。自社がエッジコンピューティングに取り組み、メリットを引き出すにはどうすればよいのか。
データの発生源であるデバイスの近く(エッジ)でデータを処理する「エッジコンピューティング」の本格的な普及はまだ先になる見通しだが、重要な動きは既に起きている。将来的なエッジコンピューティングの採用を見据えて、企業が準備しておくべきことは何だろうか。
「IoT(モノのインターネット)は次第にエッジコンピューティングへ移行する」と、調査会社PA Consulting Groupのプロテウス・ダックスベリー氏は指摘する。ただし現段階でその動きはそれほど目立ってはおらず、IoTはまだエッジコンピューティングの特殊な用途だ。この状況は「今後2〜3年は変わらないだろう」とダックスベリー氏は語る。
とはいえ既にIoTが幅広く採用されている業界では、2020年にエッジコンピューティングの採用が大きく進展する可能性がある。例えばエネルギーや公共インフラ、製造などの業界だ。調査会社のForrester Researchは、IoTの採用が最も進んでいる製造業で2020年にエッジコンピューティングへの投資が目立つだろうと予測している。
調査会社のMarketsandMarketsは2019年8月に発表したレポートで、エッジコンピューティングの世界市場は2019年の28億ドルから2024年には90億ドルまで伸びると予測している。この背景には下記のような動きがある。
専門家は地方自治体によるスマートシティー開発、スマートカーの各種自動化機能の実現、民間企業によるさまざまなパイロットプロジェクトの実施などでエッジコンピューティングが採用されると予測する。エッジコンピューティングを必要としない業界は「ゼロだと言っても過言ではない」とダックスベリー氏は言い切る。「今後2年ほどはエッジコンピューティングの“お試し期間”になる」(同氏)。
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