「Slackを常にアクティブにせよ」はNG? DevOpsチームの在宅勤務ガイドDevOpsチームが取り組むテレワーク【後編】

新型コロナウイルス感染症によるテレワーク導入の波はDevOpsチームにも迫っている。従来対面での定期的な話し合いを前提としてきたDevOpsチームがテレワークを乗り切るにはどうすればよいのか。専門家に聞いた。

2020年08月20日 05時00分 公開
[Beth PariseauTechTarget]

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 中編「在宅勤務がDevOpsチームの『業務の属人化解消』の“特効薬”になる?」は、アプリケーション開発とITインフラ運用を統合的に実施する「DevOps」チームが、在宅勤務などのテレワークで業務を進める際の6つのヒントのうち、3つを紹介した。後編では残る3つを取り上げる。

  1. コミュニケーションツールを統一する(中編で紹介)
  2. 業務の属人化を避ける(中編で紹介)
  3. 作業を可視化し業務量を測定可能にする(中編で紹介)
  4. 品質を重視する
  5. 従業員を細かく管理しない(会員限定)
  6. 後回しにしているプロジェクトを進める(会員限定)

4.品質を重視する

 コンサルティング企業McKinsey & Companyが発表したレポートによると、テレワークによって業務の品質が低下する恐れがある。物理的に同じ場所で働いている従業員が40%のチームと100%のチームを比べると、後者のチームの方がミスの発生率が50%少なかったという。このことから、同社は「同じ場所で働くことが、品質向上につながる可能性がある」と説明する。

 テレワークを実施するDevOpsチームは、業務量を測定可能な細かい作業を積み上げ、自動化ツールで業務を最適化することに注力するとよいだろう。「さまざまな場所に分散して働くチームは、仕事を終えるのは早いが、分散した成果物を統合する際に品質の問題が起きる」と、調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるチャールズ・ベッツ氏は説明する。「運用前の自動テストを強化する必要がある」とベッツ氏は語る。

5.従業員を細かく管理しない

 チームの体制や管理、従業員の日課は、通常であれば生産性の鍵になる。だが非常時はそうではない。恐怖、混乱、不透明さが広がり、家庭での責任に変化が起きているときに、DevOpsチームの管理責任者が細かい点まで統制を追求することは思慮に欠ける。

“Slackで常時アクティブ”を求めることは「本質を見失っている」

 ソフトウェア開発支援ベンダーTasktop Technologiesのシニアバリューストリームマネジメントストラテジストであるカルメン・デアルド氏は「過程よりも結果を重視すべきだ」と考えている。そのためには、従業員が「今何をしていて、忙しく見えるかどうか」ではなく「業務の具体的な目標」に目を向けることが大切だという。「8時〜17時の間、ビジネスチャットツールの『Slack』で『アクティブ』(接続中)であることを従業員に求めているとしたら、本質を見失っている印だ」と同氏は述べる。

 チームで使うコミュニケーションツールを指定する必要はあるが、使い方を指定するべきではない。従業員が使い方を試行錯誤することを促すべきだ。「実際に出社して掲示物を見る」という動作がオンラインでも可能だということを、従業員が気付くように仕向ける必要がある。ただし従業員がテレワークでの業務に慣れるまでは、混乱が生じることは覚悟しなければいけない。

 感謝を伝えるメッセージボードのような単純なものでも、やる気や精神衛生の維持に役立つ。「チーム全員がテレワーク実施中のときでも、こうしたコミュニケーションが社会交流の重要な点であることは変わらない」(ベッツ氏)

6.後回しにしているプロジェクトを進める

 新型コロナウイルス感染症の流行による長期的な景気後退は既に始まっているという見方がある。DevOpsチームは、現時点のバックログ(積み残し作業)を終えたら、今までのように仕事がたくさんあるわけではないことに気付くこともあるだろう。

 そのような状況は、後回しにしていたプロジェクトや、あると良いものの実現に取り組むのにちょうど良いタイミングだ。DevOpsチームには、開発したソフトウェアを配信する工程を自動化して効率を高めたり、ITインフラのセキュリティを確保したりと、長期で取り組みたいことが複数ある。ただし、それらは後回しになっていることが少なくない。

 「今は経済全体が混乱しており、誰も革新的なことはできない」とベッツ氏は語り、インベントリ(所有資産一覧)の更新や業務の品質改善に取り組むことを勧める。

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