コニカミノルタ系がSQL Serverから「PostgreSQL」に移行した訳と、直面した壁ユーザー企業が語る「PostgreSQL」の魅力と課題【後編】

Konica Minolta Healthcare Americasは、それまで利用していた「SQL Server」から「PostgreSQL」に移行した。PostgreSQLを選択した理由と、運用時に直面した課題を担当者が説明する。

2020年10月02日 05時00分 公開
[Sean Michael KernerTechTarget]

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 オープンソースのRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)「PostgreSQL」(「Postgres」とも)を活用する企業の中に、コニカミノルタの米国グループ会社で、医療用各種機材の販売を手掛けるKonica Minolta Healthcare Americasがある。PostgreSQLに関する意見を共有するオンラインカンファレンス「Postgres Vision 2020」のユーザーセッションにおいて、同社でシステムアーキテクトとエンジニアリングマネジャーを兼務するアダム・バンチ氏が、PostgreSQLを採用したいきさつを語った。

PostgreSQLを選んだ理由と、導入時の壁

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 Konica Minolta Healthcare Americasは以前、社内で利用する主要RDBMSとしてMicrosoftの「SQL Server」を使用していた。一方でコスト削減とスケーラビリティ向上を実現するため、バンチ氏らは別のDBMS(データベース管理システム)への移行を望んでいた。

 移行先の選定では「MySQL」やPostgreSQLといったRDBMSだけでなく、RDBMSに属さないDMBSにも目を向けた。「当社がPostgreSQLを選んだのは、パフォーマンスの点から他のDBMSよりも高いスケーラビリティを発揮できると考えたからだ」とバンチ氏は話す。「多数のオープンソースソフトウェアを導入している」(同氏)というKonica Minolta Healthcare Americasのシステムにおいて、PostgreSQLは要になっている。

 PostgreSQLへの移行時に、同社が課題に直面しなかったわけではない。バンチ氏はPostgreSQLについて「プロプライエタリソフトウェアよりも細かい制御とカスタマイズが可能だが、それを実行するにはデータベース管理者のスキルアップが必要だった」と語る。そのために、Konica Minolta Healthcare Americasは多くのリソースと時間を費やさなければならなかった。そこで同社は、PostgreSQLの運用に当たってEnterpriseDB(「EDB」の名称で事業展開)のサポートを受けることにした。EDBはPostgreSQLの商用版に加え、無償版のサポートサービスを提供している。

 EDBはPostgreSQLの主要な貢献者かつ支援者だ。同社のCEOエド・ボヤジアン氏は、Postgres Vision 2020の基調講演で「PostgreSQLの真の差異化要素は『オープンソースコミュニティー』だ」と語った。PostgreSQLの開発にはさまざまなベンダーが携わっている。「特定ベンダーの管理下にない、活気あふれるコミュニティーがあることがPostgreSQLの強みだ」(ボヤジアン氏)

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