いまさら聞けない「Remote Desktop Services」の基礎 普通のVDIとの違いは?Microsoftの「RDS」「WVD」を比較する【前編】

Microsoftは、在宅勤務などのテレワークに役立つ複数のリモートアクセス手段を提供している。まずは歴史のある「Remote Desktop Services」(RDS)の特徴と仕組みをおさらいしよう。

2020年10月02日 05時00分 公開
[Brian KirschTechTarget]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響で、企業のIT担当者は、在宅勤務などのテレワークへの移行に向けた体制を整える必要が生じた。テレワーク中の従業員が業務アプリケーションを利用できるようにするために、IT担当者は自社にとって最適な技術を早急に判断しなければならなくなった。

 従業員が社外から仕事に必要なアプリケーションやデータにアクセスするために役立つのが、リモートアクセス技術だ。Microsoftはリモートアクセスを実現する複数の手段を提供している。

 Microsoftが提供する主要なリモートアクセス手段は「Remote Desktop Services」(RDS:リモートデスクトップサービス)と「Windows Virtual Desktop」(WVD)だ。それぞれが実現するエンドユーザーの体験は似ていても、使用している技術や稼働させるのに必要なインフラ、ライセンスモデルはそれぞれ異なる。前後編にわたり、RDSとWVDを比較する。まずはRDSの基礎をおさらいしよう。

Remote Desktop Services(RDS)とは

 「Terminal Services」(ターミナルサービス)を前身とするRDSは、Microsoftが提供するリモートアクセス手段の中でも、最も成熟した手段だ。画面転送プロトコル「Remote Desktop Protocol」(RDP)を使用することで、サーバOS「Windows Server」に対してリモートアクセスする「セッションベース」の仮想デスクトップを提供できる。

 RDSは、Windows Serverにログインするエンドユーザーごとに、1つの仮想デスクトップを提供する。エンドユーザーはその仮想デスクトップで、Windows Serverにインストールされたアプリケーションを使用できる。

 比較的簡単に導入できることが、RDSの大きな利点だ。適切なライセンスを取得すれば、RDSのセットアップ自体は半日もあれば完了でき、他のシステムやアプリケーションへの影響はほとんどない。ただし注意しなければならない点がある。RDSが実現する仮想デスクトップは、クライアントOSの「Windows」ではなく、サーバOSのWindows Serverのデスクトップがベースになることだ。そのためユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)は、クライアントOSのWindowsがベースになるWVDや一般的なVDI(仮想デスクトップインフラ)より、やや限定される。

 MicrosoftはRDSを従来型PCに代わるものとしてではなく、Windows搭載PC向けにアプリケーションを配布する手段として提供する。データセンターであまりRDSが活用されなくなってきた背景には、エンドユーザーが利用するアプリケーションの主流が、PCにインストールする必要のあるアプリケーションから、SaaS(Software as a Service)へと移ってきたことがある。


 後編は、WVDの特徴を説明した上で、RDSとWVDを比較する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

製品資料 SB C&S株式会社

仮想化環境のモダナイゼーションを加速させる、新しい運用管理方法とは?

さまざまなメリットをもたらす仮想化環境だが、2023年にVMwareが買収されたことで、ユーザー企業は難しい判断を強いられている。そこで、コストメリットも大きい、仮想化環境のモダナイゼーションの方法について解説する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

データ利活用基盤を強化:NTTコミュニケーションズのストレージ導入事例

データ分析・利活用のニーズが高まる中、アクションのベースとなるデータも膨大な容量となり、今後も増え続けていく見通しだ。そうなると、各企業はデータ利活用基盤として、信頼性や拡張性の高いストレージを求めるようになるだろう。

製品資料 横河レンタ・リース株式会社

Windows 11への刷新はデータ移行が重荷、作業負荷を大幅に軽減する方法とは?

OSの移行には「データ移行」が付き物だが、その業務負荷の高さに悩まされているIT管理者は多いだろう。Windows 11への移行を進める前に知っておきたい、「データレスPC」の有効性や、導入で得られる“プラスα”のメリットを解説する。

事例 ニュータニックス・ジャパン合同会社

サーバ250台の移行事例、東海理化が仮想環境を刷新した理由とその効果とは?

技術や市場の変化が激しい自動車業界にあって、長年、数多くの自動車メーカーに部品を供給してきた東海理化。同社は変化に柔軟に対応するためのDX推進に当たって、これまで運用してきたレガシー仮想環境からの移行を断行する。

製品レビュー ニュータニックス・ジャパン合同会社

クラウド同士の連携と運用の課題解消、WebスケールITの基準を採用した基盤とは

ハイブリッド/マルチクラウドへ移行する企業のIT環境だが、クラウド同士の連携は複雑な上に、運用も非効率になりがちだ。そこで、この問題を解消するためのハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを紹介する。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...