「HCI」を「Kubernetes」でクラウドネイティブ化 VMwareとCiscoの動きは?「HCI」×「Kubernetes」の主要製品【第2回】

コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」をHCI(ハイパーコンバージドインフラ)に組み合わせる動きが広がっている。まずはVMwareとCisco Systemsの取り組みを紹介する。

2021年04月01日 05時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 第1回「『コンテナ』の良さとは? 『HCI』で『Kubernetes』を動かす意味は?」に続き、「HCI」(ハイパーコンバージドインフラ)でコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を運用するための製品を紹介する。本稿はVMwareとCisco Systemsの製品を中心に取り上げる。

VMwareの「vSphere with Kubernetes」

 VMwareは、サーバ仮想化ソフトウェア「vSphere」にKubernetesを組み込んだ。vSphereのバージョン7が搭載した「vSphere with Kubernetes」という機能によって、vSphereでKubernetesクラスタ(コンテナを実行するサーバ群)を運用できるようになった。vSphere with Kubernetesは、KubernetesのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を介してKubernetesクラスタのデプロイ(配備)ができる。

 vSphere with Kubernetesは、VMwareのクラウド構築製品群「VMware Cloud Foundation」(VCF)の一部を成す機能でもある。VCFはコンピューティング、ストレージ、ネットワークのリソースを統合的に構築、運用するための各種機能を提供する。

 VCFは下記2つのKubernetes関連の製品群を含む。

  • Tanzu Runtime Services
    • Kubernetesをベースにしたコンテナランタイム「VMware Tanzu Kubernetes Grid」を含め、Kubernetesの核となる機能を提供
  • Hybrid Infrastructure Services
    • KubernetesのAPIやREST(システム連携の標準的な設計思想)準拠のAPIを利用して、コンテナや仮想マシン、ストレージやネットワークのリソースを制御

 Dell TechnologiesはHCIアプライアンス「Dell EMC VxRail」に、同社傘下のVMwareの技術を早くから採用している。Dell EMC VxRailはVMware vSphereやVCFの各種コンポーネントを搭載し、Kubernetesも利用できるようになった。Dell TechnologiesはVMwareとの協力の下、「VMware Tanzu on Dell EMC VxRail」(Tanzu on VxRail)として、KubernetesをHCIで運用できるようにする各種機能を搭載。Kubernetes用のリソース配備から、Kubernetes環境を構成する各種コンポーネントのライフサイクル管理の自動化まで幅広い機能を提供する。

Cisco Systemsの「HyperFlex Application Platform」

 Cisco SystemsはHCIアプライアンス「Cisco HyperFlex」を2016年に販売開始した。同社はこのHCIアプライアンスでコンテナの運用を可能にする機能群「Cisco HyperFlex Application Platform」(HXAP)を投入した。HXAPはKubernetesをベースにしているため、Kubernetesで開発したアプリケーションをCisco HyperFlexでそのまま運用できる。オンプレミスインフラとクラウドサービスにまたがるKubernetesクラスタのプロビジョニング(配備)やメンテナンスを簡素化する機能も搭載する。

 HXAPによって、ユーザー企業はクラウドサービスでの運用を前提にした「クラウドネイティブ」なアプリケーションをオンプレミスインフラでも簡単に運用できるようになる。クラウドサービスでもオンプレミスインフラでも同様のアプリケーション運用を実現する選択肢を提供することが、Cisco Systemsの狙いだ。HXAPはOSの管理やパッチ適用などKubernetes環境を構成するコンポーネントの管理機能の他、開発チームと運用チームが協力して開発を進める「DevOps」を支援するツール、ストレージやネットワークの負荷分散に役立つツールなども併せて提供する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

「HCI」を「Kubernetes」でクラウドネイティブ化 VMwareとCiscoの動きは?:「HCI」×「Kubernetes」の主要製品【第2回】 - TechTargetジャパン サーバ&ストレージ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...