コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」をHCI(ハイパーコンバージドインフラ)に組み合わせる動きが広がっている。まずはVMwareとCisco Systemsの取り組みを紹介する。
第1回「『コンテナ』の良さとは? 『HCI』で『Kubernetes』を動かす意味は?」に続き、「HCI」(ハイパーコンバージドインフラ)でコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を運用するための製品を紹介する。本稿はVMwareとCisco Systemsの製品を中心に取り上げる。
VMwareは、サーバ仮想化ソフトウェア「vSphere」にKubernetesを組み込んだ。vSphereのバージョン7が搭載した「vSphere with Kubernetes」という機能によって、vSphereでKubernetesクラスタ(コンテナを実行するサーバ群)を運用できるようになった。vSphere with Kubernetesは、KubernetesのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を介してKubernetesクラスタのデプロイ(配備)ができる。
vSphere with Kubernetesは、VMwareのクラウド構築製品群「VMware Cloud Foundation」(VCF)の一部を成す機能でもある。VCFはコンピューティング、ストレージ、ネットワークのリソースを統合的に構築、運用するための各種機能を提供する。
VCFは下記2つのKubernetes関連の製品群を含む。
Dell TechnologiesはHCIアプライアンス「Dell EMC VxRail」に、同社傘下のVMwareの技術を早くから採用している。Dell EMC VxRailはVMware vSphereやVCFの各種コンポーネントを搭載し、Kubernetesも利用できるようになった。Dell TechnologiesはVMwareとの協力の下、「VMware Tanzu on Dell EMC VxRail」(Tanzu on VxRail)として、KubernetesをHCIで運用できるようにする各種機能を搭載。Kubernetes用のリソース配備から、Kubernetes環境を構成する各種コンポーネントのライフサイクル管理の自動化まで幅広い機能を提供する。
Cisco SystemsはHCIアプライアンス「Cisco HyperFlex」を2016年に販売開始した。同社はこのHCIアプライアンスでコンテナの運用を可能にする機能群「Cisco HyperFlex Application Platform」(HXAP)を投入した。HXAPはKubernetesをベースにしているため、Kubernetesで開発したアプリケーションをCisco HyperFlexでそのまま運用できる。オンプレミスインフラとクラウドサービスにまたがるKubernetesクラスタのプロビジョニング(配備)やメンテナンスを簡素化する機能も搭載する。
HXAPによって、ユーザー企業はクラウドサービスでの運用を前提にした「クラウドネイティブ」なアプリケーションをオンプレミスインフラでも簡単に運用できるようになる。クラウドサービスでもオンプレミスインフラでも同様のアプリケーション運用を実現する選択肢を提供することが、Cisco Systemsの狙いだ。HXAPはOSの管理やパッチ適用などKubernetes環境を構成するコンポーネントの管理機能の他、開発チームと運用チームが協力して開発を進める「DevOps」を支援するツール、ストレージやネットワークの負荷分散に役立つツールなども併せて提供する。
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