AWSジャパンが無料クラウド移行支援サービスを日本独自で開始 その狙いとは?クラウドニュースフラッシュ

「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ」の提供開始やコンテナオーケストレーター「Kubernetes」の導入状況に関する調査結果など、クラウドに関する主要なニュースを6つ紹介する。

2021年05月31日 13時30分 公開
[上田 奈々絵TechTargetジャパン]

 アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)が、オンプレミスインフラからクラウドサービス群「Amazon Web Services」へのシステム移行を検討する企業向けに、国内独自サービスを提供開始する。AWSジャパンの既存サービスやシステムインテグレーターのクラウドサービス移行支援サービスとは何が違うのか。その他、富士通のクラウドサービス導入事例やコンテナオーケストレーター「Kubernetes」のマネージドサービス(マネージドKubernetesサービス)の利用動向など、クラウドに関する主要なニュースを取り上げる。

「Azure IoT Edge」を富士通工場が採用 スマートファクトリー化を目指す

 ネットワーク機器製造を手掛ける小山工場(栃木県小山市)の組み立て作業判定システムに、MicrosoftのAzure IoT Edgeを採用する。Azure IoT Edgeはエッジ(データ発生源の近く)にあるコンピュータに、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」の処理負荷を肩代わりさせるサービスだ。同社は工場内のエッジコンピュータに組み込む組み立て作業判定システム(画面)にAzure IoT Edgeを利用する。Azure IoT Edgeと工場内に設置した高精細カメラ、人工知能(AI)技術の組み合わせにより、機器の組み立て作業中の担当者が正しく作業しているかどうかを判定する仕組みを構築した。(発表:日本マイクロソフト<2021年4月16日>)

画面 画面 組み立て作業判定システムの判定画面(出典:富士通プレスリリース)

AWSジャパンが日本独自で無料のクラウド移行支援サービスを開始 提供の理由は?

 新たに提供する「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ」は、同社が提供していたクラウドサービス移行時のTCO(総所有コスト)評価や現状分析などの事前評価サービスと移行時の利用料金の割引に加え、新たにユーザー企業の社内におけるCCoE(クラウドサービス移行を推進する組織)の立ち上げ支援や、クラウドサービス移行のノウハウを理解するための体験型ワークショップなどのサービスを組み合わせて提供する。移行計画の立案と移行の支援は、ユーザー企業にAWS導入のアドバイスをする専任担当者が支援する。同サービスの企画を手掛けたAWSジャパンの佐藤 有紀子氏は「ユーザー企業はクラウドサービスの導入を検討するときに、移行計画をどう策定すべきか分からなかったり、システムインテグレーターの提案を評価できなかったりといった課題を抱えがちだ」とサービス提供の背景を説明する。AWS ITトランスフォーメーションパッケージは原則無償で、AWSの導入に関するアセスメントを受けることで利用できる。(発表:Amazon Web Services<2021年4月20日>)

最も人気のマネージドKubernetesサービスは? IDC Japanが調査

 IDC Japanが発表したKubernetesの導入状況に関する調査結果によると、回答企業のうち本番システムでコンテナを利用しているのは16.9%で、2020年に実施した調査の14.2%から上昇した。同社は金融業や製造業などのユーザー企業がアプリケーションのクラウドサービス移行のための手段として、コンテナの採用を進めつつあると考察する。オープンソースソフトウェア版(コミュニティー版)の使用率は2020年度の調査よりも低くなり、ベンダーのディストリビューション(配布用パッケージ)版やマネージドサービス版の使用率が高くなった。マネージドサービス版の中で、回答企業の中での使用率が最も高かったのはAWSの「Amazon Elastic Kubernetes Service」だった。本調査はIDC Japanが2021年2月に、国内の企業420社に対して実施した。(発表:IDC Japan<2021年4月15日>)

「Oracle GoldenGate」の「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)版が提供開始

 Oracleが新たに提供するデータレプリケーションサービス「Oracle Cloud Infrastructure GoldenGate」(OCI GoldenGate)は、オンプレミスインフラやクラウドサービスで稼働する、異なる種類のストレージやデータウェアハウス(DWH)、データレイク間でデータの同期や転送を実行する。従量課金制で、パッチ適用やインフラリソースの拡縮を自動実行するのが特徴だ。Oracleはオンプレミスインフラからクラウドサービスへのデータベース移行やリアルタイムデータ分析などの用途を想定する。(発表:Oracle<2021年4月21日>)

NTTドコモがクラウドでNVIDIA製GPUを利用可能に 5Gとの併用で映像処理を高速化

 NTTドコモはクラウドサービス群「ドコモオープンイノベーションクラウド」の仮想マシンサービス「Compute V」のオプションサービスとして、NVIDIA製GPU(グラフィックス処理プロセッサ)「NVIDIA Quadro RTX 8000」を利用可能にした。オプションサービスの名称は「NVIDIA Quadro RTX 8000メニュー」。同サービスとNTTドコモの5G(第5世代移動通信システム)サービスの組み合わせで、アニメーションやVR(仮想現実)といった大容量映像の高速処理を可能にする。1枚の物理GPUを1台の仮想マシンで占有する方式と、2〜8個の仮想GPUに分割して複数の仮想マシンで利用する方式を用意し、コスト要件や必要なスペックに応じて選択できるようにした。(発表:NTTドコモ<2021年4月13日>)

「SAP ASE」「SAP IQ」など旧Sybase製品が「SAP HANA Cloud」で利用可能に

 SAPジャパンはクラウドデータベースサービス群「SAP HANA Cloud」で、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の「SAP Adaptive Server Enterprise」(SAP ASE)と「SAP IQ」、データレプリケーションツールの「SAP Replication Server」の旧Sybase製品3種を利用できるようにした。これらの旧Sybase製品のユーザー企業に対して、オンプレミスインフラから従量課金のクラウドインフラへのシステム移行を後押しする狙いだ。(発表:SAPジャパン<2021年4月19日>)

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