保安官のボディーカメラから取得したデータの保管場所として「Microsoft Azure」で構築したストレージシステムを利用する米国のブーン群。Azureの利用で得られたコスト削減効果とは。
米インディアナ州のブーン郡は2018年、保安官事務所で記録する大量のデータを保存するために、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」でアーカイブ用ストレージシステムを構築することを決めた。前編「警察が捜査データ8TB分を“うっかりミス”で消失 その深刻な影響とは」に続く本稿は、同群のAzure活用の取り組みを紹介する。
1つの市と5つの町、複数の未編入地域を管轄しているブーン郡の保安官事務所は、保安官用のボディーカメラの支給を開始した。ブーン郡の司法制度は、係争中の訴訟や結審した訴訟に関連するファイルの保存を義務付けており、ボディーカメラの動画ファイルも対象に含める必要があった。
ブーン郡のIT業務を請け負うGovernment Utilities Technology Service(GUTS)によると、同郡がAzureのストレージシステムで必要とする容量は、2018年から2021年にかけて25TBから35TBに増加した。
「事件の種類ごとに、データを保持すべき期間が違う」と、GUTSのブーン郡向けITサービス担当部門のマネジャーを務めるショーン・ホラン氏は言う。保持期間が4年だけのデータがあれば、無期限保管が必要なデータもある。「IT担当者は、そうした各データの違いが分からないため、どのデータを削除すべきかを判断できないことが問題だ」(ホラン氏)。アーカイブ用ストレージシステムに送るデータとオンプレミスのストレージシステムに残すデータの分類には、アーカイブ/バックアップソフトウェアベンダーKompriseの製品が役立っていると、ホラン氏は説明する。
ホラン氏はAzureで構築したストレージシステム関連の年間請求額を計2万5000ドル(約285万円)〜3万ドル(約342万円)と見積もる。オンプレミスのストレージシステムだけで全てのデータを保管してきた過去数十年間に比べれば、かなり安く抑えられているという。「SAN(ストレージエリアネットワーク)を導入するコストを考えれば、当然のことだ」とホラン氏は言う。ブーン郡はAzureに保存しているデータをテープにもバックアップしている。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
アドビが「10種類のAIエージェント」を発表 顧客体験はどう変わる?
アドビの年次イベント「Adobe Summit 2025」が開催された。初日の基調講演では、アドビの...
「ブランドは叩かれて強くなる」 ジャガーのCMOが語った炎上の乗り越え方
SXSWで開催された「Female Quotient」のイベントにおいて、Jaguar Land Roverの米国CMOは...
生成AI検索は売り上げにプラス? マイナス? 企業に求められる戦略転換
生成AIが主流になるこれからの検索で企業にはどのような姿勢が求められるのでしょうか。