ベンダーとのより良い関係構築は、非常時に自社を助けることにもつながる。ユーザー企業がベンダーと同じ方向を向いて業務を進めるためにはどうすればよいか。その方法を探る。
前編「『とにかく安く』の調達目標と上司に挟まれても、ベンダーとの良い関係を築く方法」は、「ベンダー関係管理」(VRM)において能動的な戦略立案が重要であることを紹介した。中編は、VRMの要件の整理とベンダーとのコミュニケーションの透明性を高めることを中心に、VRMで陥りがちな課題の解決方法を解説する。
ユーザー企業が「戦略的なベンダーとはどのようなものか」「受け入れ可能な調達のリスクは何か」といった質問に答えられない場合、顧客関係管理(CRM)データの理解が、VRM戦略立案における鍵になることがある。
米国生産性品質センター(APQC:American Productivity and Quality Center)でサプライチェーンマネジメントリサーチリードを務めるマリサ・ブラウン氏によると、顧客に注目することで選ぶべき選択肢が明確になる可能性がある。VRMとCRMの関係を考えることは、データの収集と分析、ガバナンスについての考え方を整理するのに役立つだろう。
VRMのリーダーと担当者は、ベンダー担当者によるフィードバックや意見の共有を促進し、ベンダーの意見に耳を傾ける姿勢を示す必要がある。「ユーザー企業がベンダーと共有する情報は、不透明なものになりがちだ」と、調査およびコンサルティングを手掛けるInfo-Tech Research Groupでリサーチ部門のディレクターを務めるスティーブン・ジェフリー氏は述べる。
ジェフリー氏は、不透明なやりとりがユーザー企業とベンダーの間に不信感をもたらすと注意を促す。買い手側は、コミュニケーションの透明性とベンダーとの協調性を高めることで状況を改善できる。ユーザー企業は、価格と性能の目標を達成する交渉能力を損なうことなく、ベンダーとの関係をオープンなものにできる可能性がある。
ユーザー企業とベンダーの双方が、具体的な指標を使ってお互いの関係がビジネス成果の改善に役立っているかどうかを調べることもできる。「ユーザー企業とベンダーの双方がROI(投資利益率)に目を向ける必要がある」と、コンサルティング企業Protivitiでグローバルサプライチェーンの責任者を務めるバーニー・ドナチー氏は話す。その上で、両者の関係性の肯定的な面と改善点を話し合う。
コミュニケーションを支援する技術を使うことで、ユーザー企業とベンダーは調達プロセスを改善できる。ドナチー氏によると、買い手は既に所持しているツールを使ってベンダーとデータを共有できる。例えば、電子調達システムのデータをMicrosoftのビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Microsoft Power BI」やTableau SoftwareのBIツール「Tableau」のようなツールに移行すれば、ユーザー企業とベンダーの双方が共通のデータにアクセスできるようになる。データ共有にMicrosoftのプレゼンテーション用ソフトウェア「Microsoft PowerPoint」を使う方法もある。
後編は、サプライチェーンリスクの克服など、残る課題と解決策について解説する。
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