昨今、導入が進んでいるクラウドサービスやエッジコンピューティング。実はこれらがレイテンシを発生させる可能性がある。どういうことなのか。対策も含め紹介する。
データセンターで通信遅延時間を指す「レイテンシ」を減らすには、どうすればいいのか。前編「ストレージやネットワークの『レイテンシ』をなくすための“賢い方法”」はストレージとネットワークに焦点を当て、レイテンシ対策を考えた。後編となる本稿は、クラウドサービスやエッジコンピューティングのレイテンシを低減するためのヒントを探る。
クラウドサービスのレイテンシはほとんどの場合、クラウドベンダーのデータセンターとユーザー企業の間の距離によって発生する。WAN接続用の機器の問題もクラウドサービスのレイテンシの要因になり得る。
企業はWANにSD-WAN(ソフトウェア定義ネットワーク)を導入すれば、クラウドのレイテンシを低減できる。SD-WAN製品の大半は、WANの信頼性向上を図る他、セキュリティや拡張性、管理の自動化を追求している。こうした特徴を持つSD-WANを使うことでWAN接続の効率化につながる。
エッジコンピューティングは、データを遠隔のデータセンターではなく端末の近く(エッジ)で処理する。エッジコンピューティングのレイテンシを減らすために、一部のクラウドベンダーは端末の近くでクラウドサービスを提供している。これによりデータ転送時間の短縮を目指している。
企業はエッジデバイス(エッジで使う端末)の監視に当たり、レイテンシをリアルタイムに測定する必要がある。レイテンシ測定機能を備えたソフトウェアやサービスとして、Linux Foundationの「EdgeX Foundry」やAmazon Web Serviceの「AWS IoT」、FNT Softwareの「FNT Command」がある。
システムのレイテンシを監視する際、監視ツールによってレイテンシが増加しないための工夫が必要だ。Webサイトの合成モニタリング(ユーザーからのアクセスをシミュレートする手法)ツールやログ監視ツールは、レイテンシを引き起こす恐れがある。対策としてはスクリプトの実行順を制御してレイテンシテストの頻度を減らせば、レイテンシの増加を防げる。
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