StellantisはAI技術を組み込んだ車載ソフトウェアの開発にAWSを利用している。同社がクラウドサービスを積極的に採用する理由とは。
オンライン小売りの最大手Amazon.com(Amazon)と、Maserati(マセラティ)やPeugeot(プジョー)などのブランドを持つ自動車大手Stellantisは、配送用車両へのバッテリー式電気自動車(BEV)の採用を進めるために新しい契約を結んだ。両社の関係性は電気自動車の利用だけではなく、Stellantisの技術開発にまで及んでいる。前編「Amazonが『マセラティ』の自動車大手Stellantisと関係を強める本当の理由」に続く本稿は、車両ソフトウェアの開発にAmazon Web Servicesの同名クラウドサービス群を利用するStellantisのIT戦略を取り上げる。
StellantisのCEO、カルロス・タバレス氏は、Amazonとの技術的な連携を深めることで、「STLA SmartCockpit」を進化させることができると期待している。同社によると、STLA SmartCockpitは「パーソナライズされた直観的な車内エクスペリエンスを生み出すよう設計されたソフトウェア」だ。
STLA SmartCockpitによりStellantis製自動車のユーザーは、娯楽やカーナビゲーション、車両のメンテナンスなどの用途で、人工知能(AI)技術を実装した車載システムを利用できるようになる。STLA SmartCockpitは2024年から世界中のAmazonの配送用車両に搭載されることが決定している。
タバレス氏によると、Stellantisは社内のIT技術者の養成と、技術リーダーとの関係性構築を進めている。こうした取り組みとAmazonとの協働は「STLA SmartCockpitに大きな専門性をもたらす」と同氏は述べる。
AI技術やクラウドサービスを活用することで、Stellantisは自社の車両を「パーソナル化した居住空間」(タバレス氏)に転換する。これにより顧客エクスペリエンス全体を強化し「運転中でない時でも、車両を最も望ましく最も魅惑的な場所にする」(同氏)。
Stellantisは優先クラウドパートナーとしてAWSを指名している。STLA SmartCockpitはAWSで稼働することになる。MaseratiやJeep、Alfa Romeo、Vauxhallを含む、Stellantisの全ブランドの車両に関連するデータ管理システムをAWSへ移行させることにも取り組んでいる。
AWSでデータ管理システムを構築することで、Stellantisのエンジニアは各プロジェクトに適したAWSサービスを利用しやすくなる。Stellantisは製品やサービスを市場投入するまでの時間を早めることも目指しているという。
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