DX推進を成功させるためには、CIO(最高情報責任者)にはどのような能力や考え方が必要になるのか。調査結果を基に探る。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、その言葉が示すように「デジタルによる革新」と「ビジネス変革の推進」の2つを意味する。つまりDXを成功させるためには、CIO(最高情報責任者)は技術を使いこなすだけでなく、ビジネスの変革に関する理解と、変革に向けて組織を導く「チェンジマネジメント」にも秀でていなければならない。
ITによる革新を目指す上では、新しいツールの導入が有効だ。クラウドサービス、ビッグデータ、人工知能(AI)技術は、ビジネス価値を高めるための有力なツールとなる。DX支援を手掛けるグローバルサービス企業のGenpactが2021年5月に公開した調査報告書「Pilots, co-pilots, and engineers――Digital transformation insights from CIOs for CIOs」によれば、「機長」(事業の中核的な機能のDXを積極的に推進する役割)に分類されたCIOの過半数が、データから意味のある知識を収集するために、既に機械学習を重要視していた。この調査報告書は、世界のCIOとテクノロジーリーダー500人を対象に実施した調査結果に基づく。
ビジネス変革が最も効果を発揮するのは、CIO自身が作りたい「新しい体験」から着手し、技術、人材、プロセス、データを見直して、業務の進め方を端々まで変えていくときだ。テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」を制度化して社内に浸透させる中で、チームがどのようにコラボレーションするかを理解し、企業が成長するための文化的変化を生み出す必要もある。
CIOは従業員と顧客とを結び付ける極めて重要な役割を担っている。調査報告書によれば、機長型CIOの40%が、製品やサービスの利用におけるカスタマーエクスペリエンス(CX:顧客経験価値)に対する説明責任をCIOが担っていると考えていた。一方「エンジニア」(DXを軌道に乗せる役割)型CIOの場合は22%の割合にとどまっていた。
グローバル保険会社Liberty Mutual Insuranceにおける、エグゼクティブバイスプレジデント兼グローバルリスクソリューション部門CIOのジョン・へペラン氏は「私たちは顧客に、物理的な製品ではなく“約束”を売っている」と調査報告書の中で述べている。「私たちは、何か問題があったら必ず解決することを顧客に約束している」とへペラン氏は強調。「私の役割は、その約束を果たすために技術を最も効果的に活用することだ」と説明する。
CIOの役割とCEOとの関係が変化し、新しいITツールが急速な発達している。こうした中、CIOは「DXにおけるエンジニア」の役割にとどまるのではなく、DXにおける機長や「副操縦士」(ビジネスリーダーと協力しながらDXを形にして、企業全体の変革を実現する役割)を目指して進化するのが望ましい。そうして最高幹部(CxO)間の連携とイノベーションの促進に注力するようになれば、新しいビジネスモデルを導く企業の共同創業者になれる。
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