半導体ベンダーQualcommが注力する分野の一つが自動車だ。Ferrariとの提携を発表した同社の半導体は、自動車においてどのような役割を果たすのか。
半導体ベンダーQualcomm Technologies(クアルコム、以下Qualcomm)は、イタリアの自動車メーカーであるFerrari(フェラーリ)と戦略的なパートナーシップを締結した。前編「あのフェラーリが半導体のクアルコムと提携する理由」は両社が提携した背景を紹介した。Ferrariの自動車は、通信分野向けの半導体を得意としてきたQualcommの半導体製品を採用することでどう変わるのか。
「Ferrariの顧客に最先端のドライビング体験を提供し、未来を形作ることに協力できるのが楽しみだ」と、QualcommのCEO(最高経営責任者)を務めるクリスティアーノ・アモン氏は述べる。両社の協力においては、Qualcommの「Snapdragon Digital Chassis」が軸になる。同製品はクラウドサービスに接続する自動車向けの製品・機能群の総称だ。
QualcommはFerrariとのパートナーシップ締結に先立ち、自動車分野向け製品群の強化を図っている。例えば車載ディスプレイ向けの半導体、ADAS(先進運転支援システム)向けの半導体の新製品を市場投入した。
FerrariはSnapdragon Digital Chassisを活用して、自動車に新しいデジタル技術を取り入れる。例えばSnapdragon Digital Chassisを構成する製品の一つである「Snapdragon Ride Vision System」は、ADAS向けのプログラム可能な半導体製品だ。自動運転の水準で「レベル2」(部分的に自動運転機能を利用)や「レベル3」(条件付きの自動運転)のニーズに応えるための機能を備える。
Snapdragon Ride Vision Systemは、特定のシステムに必要な機能を1つのチップ(基板)に集積させるSoC(システムオンチップ)が中核となっている。QualcommはSnapdragon Ride Vision SystemをADASのために設計しており、同製品はADASのアプリケーションに必要な各種のプロセッサを搭載する。
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