「CPU」と「GPU」の得意なタスクの違い “やってはいけない”使い方は?プロセッサ2種の併用で高速化

CPUに加えてGPUを併用する動きがある。GPUはグラフィックス処理用ではなく、CPUのタスクを肩代わりする役割として活用が進む。2つをどう使い分けるのが賢い選択なのか。

2022年04月28日 05時00分 公開
[Alan R. EarlsTechTarget]

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 CPUはコンピュータのほぼ全ての処理をこなせるが、その一部をGPU(グラフィックス処理装置)に担わせることで、より効率的に全ての処理を実行可能になる。より具体的に言い換えれば、負荷の大きな処理をGPUが高速に実行し、CPUは一般的な処理に集中できる。

 どのような用途であっても、CPUとGPUを併用すればいいわけではない。それぞれ得意なタスクが異なるためだ。

CPUを使い続けるべき用途と、GPUに見いだされた新たな用途

 GPUは、元はグラフィックス処理の役割を担うプロセッサだった。昨今はグラフィックス処理ではない汎用(はんよう)的な用途にも、GPUを活用する動きが強まっている。高負荷のグラフィックス処理をこなせるGPUは、さまざまな用途に生かせる。例えば機械学習やデータ分析などだ。

 反対に、GPUが適さない用途もある。「データベースやデータウェアハウス(DWH)のデータ検索には適さない」と、調査会社Forrester Researchのプリンシパルアナリスト、マイク・グアルティエーリ氏は指摘する。

 GPUベンダーが重視しているのは、機械学習のトレーニングを高速化することだ。画像データベース検索、自然言語処理などの高速化にもGPUが役立つ。GPUの利用が広がるにつれ、GPU活用はこうしたタスクを処理するためのコスト効率の高い方法になっていくと考えられる。

 データベースベンダーExasolのCTO(最高技術責任者)、マティアス・ゴロンベク氏は「GPUのおかげで、データサイエンティストは付加価値のある仕事により多くの時間を使えるようになる」と言う。時間のかかる仕事から解放されることで、データサイエンティストのストレス軽減も期待できる。

 特定の作業が集中するタスクにGPUは向いている。そのためGPUの活用が広がっても、依然としてCPUを使うべき用途がある。例えばデータベース言語のSQLによる分析クエリの実行には、CPUを使ったインメモリ(メインメモリ内)処理が必要だ。

GPUとCPUの選択

 データ分析では、CPUとGPUを併用することが最善策となる。データ分析において、GPUは大規模な並列処理(複数の命令の同時実行)を実行できる。ただし汎用的な処理を複数実行する場合は、GPUよりもCPUの方が適する。

 CPUとGPUをデータ分析に併用する場合に検討しなければならないのは、GPUをアクセラレーター(処理速度を上げるためのハードウェア)として使用することで、全体の処理の効率が上がるのかどうかだ。例えばGPUを有効に使うことで、機械学習のモデル開発、トレーニング、精度向上などを高速化できる。こうしたタスクの処理にはGPUによる並列処理が生きるからだ。GPUを使うことで、CPUは高負荷のタスクから解放される。

テストにも使いやすいGPUサービス

 主要なクラウドベンダーはGPUをサービスとして使えるメニューを用意している。そのサービスを利用すれば、ユーザー企業はGPUを購入することなくGPUによるタスクをテストできる。「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」(GCP)には、いずれもGPUのインスタンス(仮想サーバ)がある。こうしたインスタンスは、基本的には機械学習向けだ。

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