独自開発のスーパーコンピュータ「AI Research SuperCluster」(RSC)を武器に、メタバース市場で覇権を握ろうとするMeta Platforms。同社が市場で主導権を握るためには、何が必要なのか。
Meta Platforms(旧Facebook)は、人工知能(AI)システム向けに独自開発したスーパーコンピュータ「AI Research SuperCluster」(RSC)の「“並外れた性能”を得意げに公開している」と、調査会社Opus Researchでアナリストを務めるダン・ミラー氏は語る。ただし「Metaが掲げる目標は、少々時代遅れに見える」とミラー氏は持論を展開する。「扱うデータ量を増やすことで、Metaはメタバース(巨大仮想空間)市場におけるAI技術の支配権を握ろうとしている」(同氏)
ミラー氏は「企業にとっては、より少ない労力で、より多くのことを実行できる技術が望ましい」と語る。具体的には、自然言語処理(NLP)や文字認識などの技術を使用して、より多くの用途で活用できたり、特殊な用途に対処できるようにしたりする方がよいという。
企業がメタバースにおいて、従業員の日常生活をサポートするためにAI技術を活用するのであれば、「AI技術の役割を分かりやすいものにしなければならない」とミラー氏は助言する。「大規模なサーバ群で何十億個もの機能を実行する状況」を生み出さないようにすることが肝要だということだ。
スーパーコンピュータを自社で開発できない企業は、Google、Amazon Web Services、Microsoftをはじめとするベンダーが提供するスーパーコンピュータを利用するのが現実的な選択肢となる。他にも「どのクラウドサービスにメタバースを配置するかという競争がさらに激化する」と、調査会社Constellation ResearchのアナリストであるR・レイ・ワン氏は予想する。
2022年1月時点では、MetaはRSCの使用を社内用途に限定しており、社外に販売する計画はない。これはIBMの「Summit」やHewlett Packard Enterprise(HPE)の「HPE Cray」といった、ベンダーが企業や行政機関向けに提供するスーパーコンピュータとは異なる点だ。Metaは「自社の研究者のニーズに応えるために、スーパーコンピュータの開発を継続する」と説明する。
調査会社Gartnerでアナリストを務めるチラーグ・デケイト氏は「Metaが別の技術を秘密裏に検討していても不思議ではない」と話す。選択肢を広げることで、機械学習モデル構築用のさまざまなシステムを利用できるようになるからだ。デケイト氏はそのようなシステムを提供する可能性があるベンダーとして、GraphcoreやSambaNova Systemsを挙げる。
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