記録容量20TBのHDDが登場した。ユーザー企業の反応はどうなのか。HDDベンダーの幹部や調査会社のアナリストに、20TBのHDDの需要について聞いた。
1950年代の登場から60年以上の歴史を持ち、2020年代に入っても広く企業の支持を得ているHDD。だがSSDが普及し、HDDの役割は変わりつつある。今後、どうなるのか。HDDの歴史を振り返った第1回「“HDD不要論”をなくす『20TBのHDD』の衝撃」に続き、第2回となる本稿は20TBのHDDが登場したインパクトを考える。
ストレージベンダーWestern Digitalのバイスプレジデント(HDD事業部門担当)兼ゼネラルマネジャー、アシュレイ・ゴラクポワラ氏 当社は20TBのHDD製品を市場投入したばかりだ。ストレージ業界では、2022年中に20TBのHDDへの移行が進むとみる。当社の顧客は「より大きな容量」「より高い記録密度」「より安い総所有コスト」を求めている。そのため、20TBのHDDの需要が活性化する見込みだ。
ストレージベンダーSeagate TechnologyのCTO(最高技術責任者)室シニアディレクター、コリン・プレスリー氏 ストレージ市場の成長はデータセンター事業者に支えられている。データセンター事業者はストレージのイノベーション(技術革新)、つまり20TBのHDD普及のけん引役だ。当社にデータセンター事業者から20TBのHDDに関する問い合わせが殺到している。製品開発部隊は一息つく暇もなく、20TBのHDDの需要拡に応じている。
調査会社IDCのリサーチバイスプレジデント(インフラシステム、プラットフォームおよびテクノロジーグループ部門)、エリック・バーガナー氏 アーカイブするデータ量の増加がHDDの販売に刺激を与えている。特にクラウドベンダーは大量のHDDを購入する。データアーカイブ用のストレージクラス「Amazon S3 Glacier」を手掛けるAmazon Web Services(AWS)がその一例だ。AWSはAmazon S3 Glacierのユーザー企業から「アーカイブ内のデータが必要になり、数秒で取り出したい」といった要求を受けることがある。そのためAWSは、HDDを使うことでデータを取り出しやすくしている。
クラウドベンダーは20TBのHDDを採用することにより、必要な購入台数を減らし、アーカイブストレージサービスの価格を抑えている。
IDCのリサーチディレクター(HDDおよびストレージテクノロジー部門)、エドワード・バーンズ氏 2022年中頃までに20TBのHDDは大量に出荷されるようになるとみている。2022年末までには18TBの出荷台数に迫り、将来は20TBが出荷台数の最も多いHDD製品になる可能性がある。それを背景に、Seagate TechnologyやWestern Digitalからの大量出荷が見込める。
第3回は、HDDとSSDを連携させたストレージの仕組みについて専門家のコメントを取り上げる。
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