HDDがこれからも売れ続ける“これだけの根拠”専門家が語る「HDDの運命」【第2回】

記録容量20TBのHDDが登場した。ユーザー企業の反応はどうなのか。HDDベンダーの幹部や調査会社のアナリストに、20TBのHDDの需要について聞いた。

2022年05月26日 05時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

 1950年代の登場から60年以上の歴史を持ち、2020年代に入っても広く企業の支持を得ているHDD。だがSSDが普及し、HDDの役割は変わりつつある。今後、どうなるのか。HDDの歴史を振り返った第1回「“HDD不要論”をなくす『20TBのHDD』の衝撃」に続き、第2回となる本稿は20TBのHDDが登場したインパクトを考える。

「問い合わせ殺到」――HDDベンダーがうれしい悲鳴の“謎”

HDDに「大容量」「安い総所有コスト」を求める顧客

ストレージベンダーWestern Digitalのバイスプレジデント(HDD事業部門担当)兼ゼネラルマネジャー、アシュレイ・ゴラクポワラ氏 当社は20TBのHDD製品を市場投入したばかりだ。ストレージ業界では、2022年中に20TBのHDDへの移行が進むとみる。当社の顧客は「より大きな容量」「より高い記録密度」「より安い総所有コスト」を求めている。そのため、20TBのHDDの需要が活性化する見込みだ。

20TB製品への問い合わせが殺到

ストレージベンダーSeagate TechnologyのCTO(最高技術責任者)室シニアディレクター、コリン・プレスリー氏 ストレージ市場の成長はデータセンター事業者に支えられている。データセンター事業者はストレージのイノベーション(技術革新)、つまり20TBのHDD普及のけん引役だ。当社にデータセンター事業者から20TBのHDDに関する問い合わせが殺到している。製品開発部隊は一息つく暇もなく、20TBのHDDの需要拡に応じている。

クラウドベンダーが大量のHDDを購入

調査会社IDCのリサーチバイスプレジデント(インフラシステム、プラットフォームおよびテクノロジーグループ部門)、エリック・バーガナー氏 アーカイブするデータ量の増加がHDDの販売に刺激を与えている。特にクラウドベンダーは大量のHDDを購入する。データアーカイブ用のストレージクラス「Amazon S3 Glacier」を手掛けるAmazon Web Services(AWS)がその一例だ。AWSはAmazon S3 Glacierのユーザー企業から「アーカイブ内のデータが必要になり、数秒で取り出したい」といった要求を受けることがある。そのためAWSは、HDDを使うことでデータを取り出しやすくしている。

 クラウドベンダーは20TBのHDDを採用することにより、必要な購入台数を減らし、アーカイブストレージサービスの価格を抑えている。

2022年に20TB製品の大量出荷が始まる

IDCのリサーチディレクター(HDDおよびストレージテクノロジー部門)、エドワード・バーンズ氏 2022年中頃までに20TBのHDDは大量に出荷されるようになるとみている。2022年末までには18TBの出荷台数に迫り、将来は20TBが出荷台数の最も多いHDD製品になる可能性がある。それを背景に、Seagate TechnologyやWestern Digitalからの大量出荷が見込める。


 第3回は、HDDとSSDを連携させたストレージの仕組みについて専門家のコメントを取り上げる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

市場調査・トレンド プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

クラウド統合を見据えたメインフレームのモダナイズ、3つの手法はどれが最適?

長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...