2.5型HDDは市場が着実に縮小している一方、ユーザー企業の人気は根強い。そのジレンマにストレージベンダーはどう向き合っているのか。専門家の見解をまとめた。
ストレージ市場では、HDDのライバルSSDが存在感を高めている。そうした中、それぞれの使い分けや両者の連携が重要になる。「HDD×SSD」の可能性を考えた第3回「『HDDとSSDのどちらを買うか』が無意味な理由」に続き、第4回となる本稿は2.5型HDDの強みやニーズを紹介する。
3.5型HDDに比べて2.5型HDDはサイズが小さく、RPM(1分当たりの回転数)速度が多い。2.5型HDDはより高密度のストレージアレイができる。ただし、HDD1台当たりの最大容量が制限されることになる。
ストレージベンダーによれば、ユーザー企業は2.5型HDDに満足している。ストレージベンダーは製品の進化や顧客の新規開拓を目指すというよりも、現状維持を方針に掲げている。ベンダー幹部やアナリストは2.5型HDDをどうみているのか。
ストレージベンダーSeagate Technologyのバイスプレジデント(製品ライン管理部門担当)、テッド・デフェンボーグ氏 顧客は当社の2.5型HDDに夢中になっている。そのため、当社は新規顧客を積極的に開拓しなくても、HDD事業の規模を維持できる。ニーズ分析から分かったのは、顧客は当社の2.5型HDDを高く評価し、今後も使い続けたいと考えているということだ。
ストレージベンダーWestern Digitalのバイスプレジデント(HDD事業部門担当)兼ゼネラルマネジャー、アシュレイ・ゴラクポワラ氏 当社の販売実績を見ると、2.5型HDDはまだ好調だ。だが3年前、5年前、8年前と比べれば、徐々に減っているのは否めない。当社は引き続き2.5型HDDの開発と販売に注力するが、市場規模は縮小していくとみている。
コンサルティング会社Dragon Slayer Consultingのプレジデント、マーク・ステイマー氏 2.5型HDDは長いスパンでみると、おそらく姿を消すことになるとみる。1万5000RPMは大したものだが、企業は読み書き速度を重視するならHDDではなく、SSDを購入する。
調査会社IDCのリサーチディレクター(HDDおよびストレージテクノロジー部門)、エドワード・バーンズ氏 2.5型HDDの出荷台数は規模が小さく、今後は徐々に減少する可能性が高い。現在はまだ企業にとって使うメリットがあるが、長い目でみるとなくなっていくと考えられる。今すぐではなく、数年以上先のことだ。
第5回は、1つのメモリセルに4bitの情報を保存する「QLC」(クアッドレベルセル)のSSDの「脅威」を考える。
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