セキュリティやネットワーク関連の仕事量が増えるとCPUは重要な仕事にリソースを割きにくくなる。プロセッサの活用においてどのような対策が可能なのか。「スマートNIC」や「FPGA」で考える。
CPUは多種多様な役割を担い、その負担は一段と大きくなる傾向にある。「スマートNIC」が台頭してきた背景にあるのはその点だ。スマートNICはただのNIC(ネットワークインタフェースカード)ではなく、プロセッサを搭載することで多様な仕事をこなせるようにする。この分野には複数の半導体ベンダーが注力している。Napatechもその一社だ。
Napatechはデータセンターのネットワーク機能セキュリティ機能を強化するための「FPGA」(Field Programmable Gate Array)搭載のスマートNICを提供している。FPGAは「プログラムの書き換え可能な集積回路」を意味する。同社のスマートNICには、帯域幅が1Gbps、10Gbps、25Gbps、40Gbps、100Gbpsなどのラインアップがある。
スマートNICにネットワークやセキュリティの処理を担わせることで、CPUのオフロード(負荷軽減)ができる。この目的はNapatech製のスマートNICであっても、他ベンダーのスマートNICであっても変わらない。サーバのCPUが過負荷になるのを回避することで、アプリケーションは本来の動作を維持できる。
一般的な企業やクラウドサービス事業者のデータセンターの他、セキュリティや通信、金融、軍事・防衛といった幅広い分野でNapatechのスマートNICは活躍している。例えばデータセンターにおいては、監視や分析のために通信データを採取する「パケットキャプチャー」がスマートNICの主要な用途になる。企業はその分析からインサイト(洞察)を獲得し、運用に役立てることができる。
データセンターにおけるスマートNICの活用法としてもう一つ重要なのは、セキュリティ対策だ。企業のIT部門はスマートNICで通信データを分析することで、信頼できない何者かが自社の重要システムに攻撃を仕掛けてくるのを防げる。
「5G」(第5世代移動通信システム)のネットワークでNapatechのスマートNICを使う方法もある。ネットワーク事業者はトラフィック(ネットワークを流れるデータ)をリアルタイムで分析することで需要を把握し、新サービスを検討できる。
NapatechのスマートNICは、帯域幅100Gbpsまでの通信データのパケットキャプチャーが可能だ。スマートNICで採取したデータは他のシステムに高速配信ができるため、ネットワーク遅延を許容できない金融系システムに活用すれば、システムの信頼性向上につながる。
第4回は、DPU(データ処理装置)を提供するNVIDIAの製品を紹介する。
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