AMDはPensandoの買収によって「スマートNIC」や「DPU」の分野に参入した。IntelやNVIDIAと競合することになる。プロセッサ分野は今後、どう変わろうとしているのか。
CPUベンダーのAMD(Advanced Micro Devices)は、Pensando Systemsを約19億ドルで買収した。Pensandoはプロセッサを搭載するネットワークインタフェースカード「スマートNIC」を手掛けるベンダーだ。この買収でAMDは、IntelやNVIDIAと競合することになる。IntelとNVIDIAは、スマートNICに搭載するプロセッサである「DPU」(データ処理装置)を手掛けている。CPUベンダーのこうした動きの背景で、何が起きているのか。
スマートNICは、CPUの負荷をオフロードできる。例えばPensandoの顧客である証券会社Goldman Sachsは、サーバのCPUからセキュリティやストレージの処理をスマートNICにオフロードしている。こうすることで、企業は業務アプリケーションにより多くのCPUのリソースを割り当てることが可能になる。
AMDはサーバ向けCPUで強固な足場を築いてきたベンダーだ。「この買収によって当社のスマートNIC事業の成長は加速し、より多くの市場において、より大きな顧客を獲得することが可能になる」と、PensandoのCEOを務めるプレム・ジャイン氏はみる。
PensandoがスマートNICに使う「パケットプロセッサ」は、Armアーキテクチャのプロセッサを使用している。このプロセッサはパケット(ネットワークを流れるデータの単位)を制御する役割を担い、専用のプログラミング言語「P4」によってデータプレーン(パケットを転送する役割)を特定の用途向けにプログラム可能だ。
Intelは、2019年にスイッチ向けのプロセッサベンダーBarefoot Networksを買収し、スマートNICの手法を追求し始めた。NVIDIAはスマートNICをDPU「BlueField」シリーズとして提供している。同社は仮想化ソフトウェアベンダーのVMwareと提携し、BlueFieldでハイパーバイザー「ESXi」を動作可能にしている。
CPUの負荷をスマートNICに分散させる取り組みは、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」などのクラウドサービスのデータセンターでも始まった。一方でAMD、Intel、NVIDIAは、プライベートクラウドにおいてスマートNICを普及させるベンダーとの協業を強めたい考えだ。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
企業のSNS活用実態 最も使われているのはX? Instagram?
企業はSNSをどのように活用しているのか。調査PRサービスを提供するPRIZMAが、最も使われ...
日本のモバイルアプリトレンド2025 クロスデバイス戦略とMMMの重要性とは?
急速に進化するモバイルアプリ市場においてAIと機械学習の活用が本格化し、マーケティン...
中国政府がTikTok売却先としてイーロン・マスク氏に白羽の矢? うわさの真相は……
米国で禁止か売却か――。判断が迫られるTikTokに驚きの選択肢が浮上した。売却先の一つ...