コロナ禍が店頭での支払い習慣に変化を及ぼしたことは明らかだ。ただし決済用カードによる非接触型決済が英国で急速に普及している背景を見ると、それ以外の要素も大きく影響していることが分かる。それは何なのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、人々には物理的な接触を制限する必要が生じた。このことが、店頭で現金支払いなどの接触決済を避ける行動につながっている。英国ではもともとキャッシュレス(現金を使わない決済)への移行が進んでおり、コロナ禍はNFC(近距離無線通信)などの通信技術を使った非接触型決済の普及に拍車を掛けることとなった。
英国の金融業界団体UK Financeが2022年8月に公開したレポート「UK PAYMENT MARKETS SUMMARY 2022」によると、パンデミックが決済市場に大きな影響を及ぼした。具体的には、減少傾向が続いていた現金使用の減少を加速させ、数年にわたって増加していたデビットカードの使用にも落ち込みをもたらした。
「パンデミックは決済の種類に変化を引き起こした」と、同レポートは説明する。現金決済が大幅に減少する代わりに、デビットカードやクレジットカードといった各種決済用カードの非接触型決済やインターネットバンキング、モバイルデバイスによる決済の使用が大幅に増えているという。
英国で非接触型決済が普及する理由は、パンデミックだけではない。英国ではほとんどの人が、何らかの決済用カードを既に使用している。決済用カードにはNFCなどの非接触型決済機能の搭載が進んでおり、最新技術の導入がなかなか進まないことが常であった高齢者層にも、非接触型決済は浸透した。
決済上限額の引き上げも、決済用カードの非接触型決済の普及を後押ししている。英国で決済用カードの非接触型決済が普及し始めた2007年ごろ、当時の上限額は10ポンドだった。英国はこの上限額を2020年までに30ポンドまで引き上げた。パンデミックの時期に当たる2021年4月には上限額が45ポンドに、その後2021年10月には100ポンドになった。
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